(『天然生活』2022年3月号掲載)
ものや収納法を厳選。時間のかかることを省略しています
片づけのネックは、“時間”です。片づけが面倒になってしまうのは、きっとそれに時間をとられることを不毛に感じるから。さて、それをうまく短縮するには……? その特効薬は、実にシンプル。ものをざっくり減らすことでした。
「ものが少なければ、それをケアする時間も自然と減ります。洗剤は厳選し、服や靴も必要なだけ持つことで管理が楽になりました」
そこで生み出された有効な時間をただ無為に過ごすのは、実にもったいないことです。
「スマートフォンやテレビ、車は持っていません。あえて便利と思われるものを手放して“時間の片づけ”をしました。やりたいことに集中でき、ついでに固定費もぐんと抑えられいいことずくめです」
やめたこと1
チェストや棚を使う収納
⇒吊るす収納で出し入れが楽に
14年前から暮らす町家は、細長いので家具を置くと窮屈に。
「やむをえず“吊るす”収納を始めましたが、ものがワンアクションで手に取れて戻せるので片づけやすいです。散らかって見えないように、天然素材や無着色のものでそろえるようにしています」
やめたこと2
洋服と靴の収納場所を増やすこと
⇒最大量が決まり、やみくもに増えなくなった
服や靴は、収納する空間を限定し、例外を認めないように。
「手元には、厳選されたものばかり。数が少ないので、手入れも面倒がらずにできます」
増やすときはひとつ手放す、と決めれば、そこまでして欲しいか? と自問でき、安易な買い足しも防げます。
やめたこと3
「〇〇用洗剤」を買うこと
⇒洗剤は3種のみ。買い物も置き場もシンプルに
食器用、お風呂用など、洗剤を用途ごとにそろえることをやめました。
「すべて粉状で保管しているので置き場所をとられなくなり、空間がスッキリしました。それ以上に、“時間の片づけ”“気持ちの片づけ”ができたことが、暮らしへの影響としては大きいと思っています」
洗剤それぞれの在庫の管理、それを気にするモヤモヤ、ドラッグストアに買いに行く手間……そんなものから、一気に解放されたそう。
「いまは純石けんをメインにアルカリ剤2種とクエン酸を目的ごとに組み合わせ家じゅうで使いまわしています」
やめたこと4
コード付きの掃除機
⇒コードレスなら吊るしてスッキリ収納
掃除機はコードレス。基本はほうきとはたきですませています。
「スティック型なので、吊るす収納で場所をとらないのもいいところ。また、ほうきとはたきを使うと、音を気にしなくていいので、思い立ったときにさっと掃除ができるので便利です」
やめたこと5
スマートフォンのある暮らし
⇒自分時間の整理整頓ができるように
目的を終えても、ついダラダラとネットニュースを見たり、SNSを眺めたり。スマートフォンは、まさに時間泥棒。それらの時間を一気に片づけ。
「情報収集はネットやテレビからでなく、主に新聞からと決めました。取引先や友人とのやりとりは朝にパソコンでまとめて。こちらも時間を決めて集中して行っています」
いつでもどこでも、仕事の都合や相手の要望に対応できてしまうのが、スマートフォンの長所であり短所。周りの都合ではなく、自分の軸で動くには、距離をおくこともひとつの方法かもしれません。
やめて失敗したこと
キッチンのごみ箱をなくしたこと
コロナの自粛期間中に家族も料理をするようになり、「不便だ」、との声で復活させました。
「私自身は問題なかったのですが、家族に負担がかかるのなら、一度決めたことでもかたくなにならず、改善した方がいいと思います。みんながストレスなく暮らすのが大切」
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<イラスト/須山奈津希 取材・文/福山雅美>
美濃羽まゆみ(みのわ・まゆみ)
ハンドメイドの子ども服、おとな服ブランド「FU-KO Basics.」主宰。築約100年の京町家で暮らしながら手づくりのある暮らしを提案。https://fukohm.exblog.jp/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです