(『天然生活』2022年3月号掲載)
むだな手順と思い込みを見つけ、ばっさりカット
片づけで大切なのは、見極め。いかに手放すタイミングを間違えないか、なのかもしれません。
「とくに困っていたのが、書類。最近はできるだけデータでもらうようにし、紙がたまるのを避けています。紙として渡された場合も、用が済めば、すぐ手放す。紙って、時間がたてばたつほど、捨てていいかどうかの判断がつきにくくなるものなんですよね」
さらに手放すときに迷うものといえば、洋服や靴、バッグ類。
「私の場合、“手入れが面倒で、身に着けなかった”というものがけっこう多くて。手放すときは、まずその理由を考えてみる。すると、自分の失敗パターンも見えるので、片づけの敵=むだなもの、が再び家に入ってくるのを防げますよ」
やめたこと1
食洗機から器をしまうこと
⇒家事を効率化できた
毎食使う食器はほぼ決まっていて、同じものを食器棚から出し、食洗機で洗ってはまた戻し……。ふと、「食器棚に戻すこの手順、いらないのでは? 」と気がつきました。
「食洗機は食器の収納場所でもある、と発想を変えたら、面倒な片づけがひとつ減りました」
やめたこと2
整理整頓の厳格なルール
⇒片づけのプレッシャーから解放された
たとえば、3人の子どもたちが持ち帰ってくるプリント。以前は細かく分類しすぎて、肝心なときに必要なものが見つからないこともありました。
「そこで、学校・学童・保育園、と“発行元”別に大きく分類。『ここを捜せば必ずある』という安心感が生まれました」
やめたこと3
洗濯物を大型ピンチハンガーで干すこと
⇒洋服の手入れや収納が楽になった
洗濯物はできるだけピンチを使わずに干します。愛用しているのは「大木製作所」のタワー型物干し。掛けるだけなのでピンチを使っていたころより手間がかかりません。
たたむのは小さくまとめたい下着類くらい。服はほぼハンガーを使って収納しています。
「ハンガー収納だとたたみじわがつかないので、アイロンがけの手間も省略。さらに“干すハンガー”と“クローゼットのハンガー”は共用。これにより、負担がさらに減少。ハンガーに掛からないものは、「無印良品」のアルミ直線ハンガーでコンパクトに干しています」
やめたこと4
スーパーへの買い出し
⇒食材の管理が楽になり、食品ロスがなくなった
前はまめにスーパーで買い物をしていましたが、ネットでの注文に切り替え。
「よく食べる食材はほぼ決まっているので、ルーティンで注文すれば、まず困りません。家で落ち着いて考えられるからむだ遣いもなくなり、冷蔵庫の中もスッキリしました」
やめたこと5
器の使用者と用途を決めること
⇒器の管理がシンプルになった
なんとなく決まっている、家族それぞれの茶碗や箸。その思い込みをばっさり手放しました。
お箸はセットの竹箸を買って、茶碗もサイズを大小用意。大人用は大、子ども用は小、というおおらかな分け方です。
「そもそも茶碗といっても、シンプルなデザインの白で、サラダを入れることもあるし、ヨーグルトが入ることもあります。いま、わが家にあるのは、用途を限定しない器類ばかりです。そば猪口は小鉢になり、湯吞みとしても使います」
器は少ない数で、効率的に使いまわし。収納場所も小さく収まります。
やめて失敗したこと
鍋のふたをひとつに減らしたこと
共用できる鍋のふたは1個でOKと思い処分したのですが……。
「意外に、ふたを使う料理って多いんですよね。料理中“ふたの空き待ち”で時間がむだになり、結局買い足すことに。逆に、買い足した“着け外しできる鍋の取っ手”は、1本あれば十分でした」
<イラスト/須山奈津希 取材・文/福山雅美>
水谷妙子(みずたに・たえこ)
「無印良品」を運営する株式会社良品計画の生活雑貨部企画デザイン室に13年間所属。手がけた商品は500点以上。2018年に独立。https://taekomizutani.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです