(『天然生活』2022年3月号掲載)
片づけの一番の敵。“自分を責めること”をやめました
西原さんいわく、「片づけって、結局は継続が大切だから、無理しないのが成功の秘訣なんですよ」
完璧に片づいた状態を求めないこと。目標を高くもつことをやめ、家族が不便&不快にならなければ合格。何より、片づけられない自分を責めることをやめました。
そして、自分に合ったツールを選ぶのもポイント。他人が当たり前に使っている道具でも、自分には向かないことも多々あります。
「私は、“こまめに何度も”が苦手。そして、手入れの必要なアイテムもNG。心掛けているのは、ケアするアイテム数を減らし、できるだけワンアクションで物事が済むような家の仕組みをつくること。ずいぶんと気持ちが楽になり、自分視点の心地よさが手に入りました」
やめたこと1
洗濯ものを別の部屋に運ぶこと
⇒洗濯ものが出っぱなしにならなくなった
洗濯物がベランダ近くのソファなどに山積み、そんな状況にへきえきしていた西原さん。原因は、「取り込む場所としまう場所が離れていた」こと。
「そこで、2階のベランダに干し、その部屋のクローゼットに収納するように。単純だけど効果てきめん」
やめたこと2
鍋をコンロ下にしまうこと
⇒吊るしながら乾かす収納で拭く手間もなくなった
なぜ、出しっぱなしになるかといえば、不必要な“ワンアクション”があるから。いままでコンロ下にしまっていた鍋は、使う場所のすぐ近く=コンロ周りに吊るしています。
「扉を開け、しゃがんで出し入れ。ささいなことでも、毎日となるとストレスでした」
やめたこと3
1日に何度も片づけるをすること
⇒毎朝15分だけと決めたら、片づけの習慣が付いた
散らかった部屋にイライラして、片づけをしないときにも頭の中は“片づけ”でいっぱい。そんな悩みを解決したのが、毎朝15分の片づけでした。
「朝、家じゅうを上から下まですべて掃除します。ときにはどんなに気になる個所があっても、15分で切り上げます」
長くやっているとキリがなくなってくるし、「昨日、長くやったから」と、次の日に手を抜いてしまう理由をつくってしまいがち。
「夕方に部屋が散らかっても、『明日の朝、片づけるから大丈夫』と、割り切れるようになり、ゆったりした気持ちで過ごせます」
やめたこと4
布巾を使うこと
⇒使い捨てタイプで収納場所も散らからない
においが気になったり、落ちにくい汚れを漂白する必要があったり。みんなが当たり前に使っているけれど、ふきんは、意外に手がかかる道具。
「ダスターを買い、汚れが落ちなくなったら、最後は雑巾にして捨てています。箱入りなので、収納もスマートです」
やめたこと5
片づけられない自分を責めること
⇒片づけが前向きにできるようになった
1日15分の朝のルーティンは続けていますが、本当に疲れているときには、それを休んでしまうこともあります。
「そんなときも、自分を責めないようにしています。『無理をしないで、できるときにやればいい』と、自分を許してあげることも必要です。責めても結果が変わらないのであれば、自分を受け入れた方がいい。『また明日やればいい』と気楽になっていいんです」
完璧主義になると、1日でも片づけができなかっただけで、すべてを投げ出したくなりがち。0か10かではなく、少しでも前進すればいいのです。
やめて失敗したこと
家じゅうのごみ箱を減らしたこと
ごみ箱自体を減らせば、ごみ出しが楽になるのでは?と考えた西原さん。ところが、これが逆効果だったそう。
「遠くのごみ箱まで捨てに行くのが面倒で、机の上などにごみが散乱する状態に。わが家では、手の届く場所にごみ箱をたくさん置く方が向いていました」
<イラスト/須山奈津希 取材・文/福山雅美>
西原三葉(にしはら・みわ)
ADHDの整理収納アドバイザー。自身の経験を踏まえた、“片づけられない人”へのアドバイスが好評。同じ悩みをもつ人の講座や交流会なども積極的に行う。https://aube.jp/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです