(『天然生活』2022年6月号掲載)
グレイヘアも選択肢のひとつ。日々のケアで髪を元気に
ここ数年来、話題のグレイヘア。グレイヘアでおしゃれに年を重ねている人も増えました。白髪を染めないことがおしゃれの選択肢として加わったのは喜ばしいことです。
でもグレイヘアを「ありのままの自然体スタイル」と思ったら大間違い。実は、白髪染め以上の手間や工夫が必要と、伊熊さんは指摘します。
「染める面倒からは解放されますが、色の補正や保湿をこまめにするなど手をかけないと、グレイヘアの清潔感は保てないでしょう。白髪を染めても染めなくても、40代以降の女性が健康的な髪をキープするには、日頃のケアが欠かせないのです」
ケアといっても特別なものではありません。ていねいに頭皮を洗って、髪を素早くしっかりと乾かす、朝晩のブラッシングを習慣にするなど、これまでのやり方を少し見直すだけで、効果は目に見えて表れるといいます。
「手をかけた分だけ髪はこたえてくれます。私は30代のころより50歳のいまのほうが、髪は元気です。髪に自信がもてると毎日が楽しくなります。自分に合う無理のない白髪ケアを見つけて、きれいな髪を育んでください」
つや髪の習慣
髪を意識した食生活と習慣の積み重ねが、白髪や薄毛の予防にも。ポイントは頭皮を顔の肌のようにていねいに扱い、ケアすること。
髪に必要な栄養を意識
髪をつくるのに欠かせないタンパク質、亜鉛、鉄分、ビタミンC・B群類を積極的に摂りましょう。食事が不規則になりやすい人は、サプリメントも取り入れてみて。
「上記の栄養素をバランスよく摂れば吸収率が上がり、髪のもとになるケラチンタンパク質や血液がつくられます。女性が不足しがちな鉄分はとくに意識して。豚レバーや牡蠣、えびなど、鉄分と亜鉛の両方を含む食材もうまく活用しましょう」
シャンプーでは頭皮を洗う
洗浄力が穏やかなアミノ酸系シャンプーを使い、頭皮のすみずみまでお湯を通す予洗いを1分、洗髪1分、すすぎ1分を目安に。額の生え際と頭頂から後頭部にかけてのTゾーンはとくによく洗って。
「すぐに流さず30秒ほどおくと泡で不要な皮脂が分解されます。最も重要なすすぎは念入りに」
素早くしっかり乾かす
濡れた髪を放置すると、髪のキューティクルから内部物質が流出したり、蒸れて菌が繁殖したりすることも。髪用の速乾タオルやドライヤーで素早く乾かしましょう。
「ドライヤーの熱を過度にあてると髪を傷める危険性が。低温設計の風量で乾かすものを選んで。髪の表面でなく内側から乾かします」
運動と睡眠はたっぷりと
睡眠によって成長ホルモンが分泌され、肌や頭皮の新陳代謝が高まり、髪の土壌が育ちます。良質な睡眠には睡眠ホルモンのメラトニンが必要です。スマートフォンやパソコンの明るい光はメラトニンの分泌を妨げるので夜間はなるべく避けること。
「白髪の原因になるストレスを減らすために、睡眠に加えて適度な運動も心がけて」
朝晩のブラッシング
ブラッシングで頭皮の筋肉を動かして血流を促すことで白髪予防や育毛に。朝起きてすぐブラッシングすれば目覚めもスッキリ、夜のシャンプー前なら頭皮の汚れを浮かせてくれます。
「ピンが密になり、頭皮に痛みを感じないやわらかいブラシを使ってください」
エス・ハート・エス スカルプブラシ ワールドモデルショート
376個の先玉ピンと段差植毛、頭皮密着設計で毛穴の汚れを除去。洗髪のほかブローにも活躍。
頭皮の保湿と、髪用オイル
シャンプー後の清潔な状態はケアに最適。タオルドライのあと、頭皮のTゾーンを中心に美容液をなじませ、毛先はヘアオイルなどで保護して乾かせばまとまりのある髪に。
「乾燥はトラブルのもと。頭皮の保湿と皮脂コントロールは、におい対策や育毛にも効果的です」
スキャルプローション(頭皮用ローション)
髪のやせ、乾燥、ハリコシの低下にアプローチ。頭皮につけ、マッサージしてなじませる。
ヘアレシピ 和の実 さらとろライスオイル
100%ピュアライスオイルが髪の内側まで浸透してダメージを補修。髪のUV対策としても。
<監修/伊熊奈美 撮影/林 紘輝 取材・文/熊坂麻美 イラスト/ヤマグチカヨ>
伊熊奈美(いくま・なみ)
美容エディター、毛髪診断士 認定指導講師、毛髪技能士。美容全般のなかでも毛髪科学分野とヘアケアに精通。30代前半から白髪に悩み、ホームケアからサロンケアまであらゆる方法にトライしてきた。つややかな髪はケアの賜物。著書に『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)。インスタグラム@namiikuma_hairista
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです