• 薬膳や漢方を取り入れて日々の習慣は、無理がないから続きます。すこやかさを育む小さな工夫を料理創作ユニット Gomaの中村亮子さんに教わりました。中村さんが頼りにしている健康の基本とは?
    (『天然生活』2022年11月号掲載)

    漢方の勉強を楽しみながら少しずつ取り入れる

    食養生=薬膳も、とくに凝った食材を買いそろえる必要はなく、身近な食材を使った日々の食事で体を整えていけるのです。漢方に関する本を読めば読むほど「学びたい欲」が高まり、昨年からは仕事や子育ての合間に中医学スクールのオンライン受講を始め、現在2年目になるのだとか。

    Gomaとしての仕事では、子どもが喜ぶポップでジャンクな料理を扱うことも多いし、個人的にも相変わらずお菓子やパンなども大好き

    毎日の食事もとくに「薬膳料理」といった雰囲気ではありません。でも漢方の勉強で得た知識をちょこちょこと取り入れることで、季節のちょっとした不調や疲れを改善することができているそう。

    「健康食材が流行ってそればかりを食べたり、『〇〇を食べてはダメ』と禁止事項をつくったり。薬膳では、そういう極端な決まりがないのが私の性格にも合っていました。中医学や漢方の勉強は果てがない感じですが、楽しみながら実践し、学び続けたいと思います」

    気づいたときのツボ押しで小さな不調を解消

    ちょっと時間が空いたときなどに、ツボ押し棒を使って、気になる部分をもみほぐしていきます。

    ツボ押しグッズ。左の「満足棒」は20年以上の愛用品。小さなほうは旅行時などの携帯用

    「体をパトロールするような感じです。ぐりぐり押して、痛く感じるところは、気が滞っているところ。そのツボを本で調べて、健康チェックをすることも」

    画像: 身近な食材で“禁止食材なし”の食養生。料理創作ユニットGoma・中村亮子さんの「ゆるやかに続ける健康法」
    画像: 1、2 人差し指の爪のつけ根にある「商陽」と小指にある「少沢」は、どちらも目疲れに効くと言われているツボ。パソコン仕事が多い日は、念入りに。

    1、2 人差し指の爪のつけ根にある「商陽」と小指にある「少沢」は、どちらも目疲れに効くと言われているツボ。パソコン仕事が多い日は、念入りに。

    画像: 3 頭頂にある「百会」は指で。「頭痛や肩こりがしたときにやさしく刺激します」

    3 頭頂にある「百会」は指で。「頭痛や肩こりがしたときにやさしく刺激します」

    小さな不調なら、もみほぐしている間にすっきりして治るそう。

    「わざわざ薬を飲んだり、お金を使わなくても解消できるのがうれしいです」

    食後は300歩を目安に歩きスムーズな消化を促す

    画像: 居間に椅子を置き、子どもと一緒にその周りをぐるぐる歩くことも

    居間に椅子を置き、子どもと一緒にその周りをぐるぐる歩くことも

    江戸時代の健康書『養生訓』に紹介されている健康法。血液の循環がよくなって血圧が安定したり、糖が動くエネルギーとして消費され、血糖値の上昇を防げるなど、医学的な裏付けもあるのだとか。

    「よく『食後は満腹で動けないよ~』という人もいますが、歩くのがおっくうに感じるのは、食べすぎのサイン。軽い散歩に行けるのが理想ですが、片づけや家事をする程度でも300歩ならクリアできます」

    「弱い」と自覚のある喉ははちみつを取り入れてケア

    画像: 「Ome Farm」「山形養蜂場」など、数種類のはちみつを常備

    「Ome Farm」「山形養蜂場」など、数種類のはちみつを常備

    高い栄養価や抗菌作用で注目されているはちみつ。薬膳では潤いをもたらすとされ、咳止め効果でも知られます。

    「乾燥に弱く、喉に痛みを感じたときは、はちみつを活用します。そのままなめて喉に行き渡らせるほか、紅茶やハーブティーに加えることも。クセのある野草茶に加えると飲みやすくなります」

    風邪のひき始めには、切った大根にはちみつをからめた「大根はちみつ」もつくるそう。

    画像: 友人が関わっているという東京・調布の「深大みつばちプロジェクト」のはちみつ。地域に植えた花から採取しているそう。「オマケに花の種をつけて、販売しているんですよ」

    友人が関わっているという東京・調布の「深大みつばちプロジェクト」のはちみつ。地域に植えた花から採取しているそう。「オマケに花の種をつけて、販売しているんですよ」

    ひと息つくおやつにも薬膳効果のあるものを選ぶ

    画像: 薬膳素材のオンラインショップ「愿望~yuanwang」で購入した「焙じはと麦」と、メルカリで見つけた国産無農薬のスライスなつめ

    薬膳素材のオンラインショップ「愿望~yuanwang」で購入した「焙じはと麦」と、メルカリで見つけた国産無農薬のスライスなつめ

    薬膳を学ぶうちに、三度の食事だけでなく、おやつで口にするものも気になるようになりました。

    胃腸の働きを助け、水分代謝を促進するはと麦や、血を補い滋養強壮にもいいなつめ、月経痛など婦人科系のトラブルにも効果的といわれている黒糖が最近のお気に入り。

    画像: 昔から大好きな西表島の黒糖は、ミネラルたっぷり。うま味が強く、ホッとひと息つく時間のお茶請けに

    昔から大好きな西表島の黒糖は、ミネラルたっぷり。うま味が強く、ホッとひと息つく時間のお茶請けに

    「おやつだけど体にいいものを食べているんだなと思えば気分もいいし、満足度も高いので変に食べすぎることもありません」

    頼りにしている健康の基本

    自然に親しむ山登り

    画像: 自然に親しむ山登り

    中医学や薬膳に目が行くきっかけをつくってくれた山登り。

    いまも年に数回、友人たちと一緒に登山し、自然を感じるようにしている。

    辞書のような『まいにち漢方』

    画像: 辞書のような『まいにち漢方』

    365日の日めくりで、季節ごとの養生のヒントを伝える1冊。

    「何人もの友人にプレゼントしました。一家に1冊あると安心な本だと思います」

    「悪者」の食材をつくらない

    画像: 「悪者」の食材をつくらない

    「〇〇を食べてはダメ」と禁止食材をつくらないのが薬膳の好きなところ。

    大のパン好きなので、1日を気持ちよく過ごすために朝食はパンを選択。



    <撮影/近藤沙菜 取材・文/田中のり子>

    中村亮子(なかむら・りょうこ)
    従妹のアラキミカとともに料理創作ユニット「Goma」を結成。「食」「子ども」「ものづくり」をテーマに、書籍や雑誌、webや広告などでのレシピ制作や、商品デザイン、子どもと大人のワークショップ開催など、幅広く活躍。個人では友人たちと山と温泉を愛する山岳会「岳泉会」を結成し、山歩きの楽しさを伝えている。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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