(『天然生活』2022年11月号掲載)
気軽に小さな幸せを口に出すことで、どんどん幸せ体質に
どんなときも笑顔を絶やさず、明るくハツラツとした引田かおりさん。そのポジティブで幸せな空気は、周りの人にも明るい気持ちを与えてくれます。
「こんなふうになれたのは、夫のおかげ。彼は『あ〜、今日もごはんがおいしくて幸せだ』『信号が青だ、ラッキーだなぁ』って、何でも気軽に幸せだと口にするタイプ。それが外にも伝わるのか、エレベーターに乗っているだけで『なにかいいことでもあったんですか? 』って聞かれるような人です。対して私は、幸せは我慢や努力を重ねた先に、ようやく手に入るものだと思っていました。でも、夫を見ていたら、なんだか自分だけ損しているように思えてきて。幸せをとっておく必要はないし、同じ人生を過ごすなら、先に『私ってラッキー! 』っていっちゃうくらいのほうが、お得ですよね」
もうひとつ、引田さんが夫に教わったのが「幸せは伝染する」。
「不幸がそうであるように、幸せも移るんだとか。夫は『僕といたら絶対幸せになる! 』なんていっていたんですよ。最強でしょう? でも、本当になっちゃいました」
幸せになるのも、そこに制限をかけてしまうのも自分次第。上手に見つけて、そのつど口に出して実感して。その積み重ねが、幸せ体質を育てるのかもしれません。
幸せのマイルール
とびきりおいしいものを取り寄せて食べる
お取り寄せが大好きな引田さん。贈りものや来客時だけでなく、自分のためにもとっておきのおいしいものを。
「何でもないときに『あ〜おいしい! 』と心から思えるものがあるって幸せ。確実においしいと信頼しているものなら、なおさらです。毎月1日に予約できる『ル・プチブルー』のクッキーもお気に入り。予約開始時間には、少しドキドキしながらパソコン前に待機して、『買えるかな? 』というワクワク感や、届くまでの時間も含めて楽しんでいます」
幸せのマイルール
玄関はきれいに整える
引田さんの日課である、玄関のふき掃除。これもまた、幸せを感じるためには欠かせません。
「片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんによると、玄関は神社の鳥居のようなものだそう。悪いものを寄せつけないための、結界のようなものでしょうか。無理なく続けられるよう、雑巾ではなく3枚重ねにしたキッチンペーパーで。朝にふき掃除をし、寝る前には靴をすべて下駄箱に戻します。玄関がすっきりしているだけで気持ちがいいですし、風通しもよく感じます」
幸せのマイルール
日中は働いて5時に閉店。いつもの日本酒で乾杯
日中はテキパキしっかりと働いて、夕方5時を目安に店じまい。今日も一日お疲れさま、と晩酌タイムでその日の自分をねぎらいます。
「しようと思えばいつまでもできてしまう仕事。だから、ダラダラしないよう線引きしたいものです。ビオワインも好きですが、私は日本酒が翌日に残りづらく体質に合っているみたい。その日の気分で酒器やお盆を選び、夫婦で乾杯する時間が毎日のささやかな楽しみです」
テキパキとのんびり、そのメリハリも幸せの秘訣です。
いつもそばに。私のお守り
家族から受け継いだ翡翠
祖母から母、引田さんへと受け継いできた翡翠は、立て爪の指輪から身に着けやすいネックレスにリメイク。
「ギャラリーの初日にお守りとして着けることも」
「rinntohitsuji」のキャンドル
夕暮れ時には部屋中のキャンドルに火を灯し、気持ちをオフに。
「炎が美しく、ススも出にくい。原料調達から真摯にものづくりをする特別なキャンドルです」
折に触れ読み返す本
木皿泉さんの描く人間味、酒井駒子さんの世界観、そして言葉の美しさに圧倒される『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』。
「宝物のような3冊です」
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<撮影/山田耕司 取材・文/藤沢あかり>
引田かおり(ひきた・かおり)
夫の引田ターセンとともに、東京・吉祥寺の「ギャラリーフェブ」とパン屋「ダンディゾン」を営む。居場所をパワースポットにするような生き方、考え方にもファンが多い。日常にある自分の幸福を見つけるためのヒントが詰まった最新エッセイ『青空 そよかぜ 深呼吸』(大和書房)も好評発売中。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです