• 夫の檀さんは、スウェーデンで生まれ、4歳のときに帰国。24歳で再度スウェーデンに渡り、大学院で家具づくりを学び、家具デザイナーに。理世さんは、日本の美術大学で日本画を専攻。交換留学制度を利用してスウェーデンへ。テキスタイルデザインを学び、舞台衣装の会社に勤めていたそう。北欧でたくさんの時間を過ごしたふたりが実践する暮らしのルールをお聞きしました。
    (『暮らしのまんなか』vol.36より)

    須長家の暮らしに学ぶ、美しい暮らしのルール

    統一感がなくても、子どもが汚してもいい。
    すべてを受け入れれば、暮らしの幹がぐんと太くなります

    【その1】そろえない

    画像: 【その1】そろえない

    ダイニングまわりの椅子は、すべてバラバラという須長家。さらに、木材の材質や色も同じにする必要はない、と考えているそう。

    「色や素材に縛られるより、暮らしのイメージを優先したほうが楽しいと思うんです」と理世さん。椅子は檀さんによるデザイン。右の黒いダイニングチェアは壁にかけられるようになっています。

    「ひとつの家具に対してどれだけ場面が想像できるか、というのが長く愛着を持てるコツだと思います」

    【その2】隙をつくる

    画像: 【その2】隙をつくる

    リビング壁面に飾ったのは、長男・絃くんの作品。段ボールや包装紙を貼り付けたあと、燃やして炭にしたものなのだとか。それを見守り、好きなようにやらせてみるのが、檀さんの懐の深さ。

    「アーティストの作品にとらわれず、家族の手づくりのものをインテリアに取り入れると、緊張感がほどよくゆるんで居心地のよさがつくれると思います」と理世さん。

    「やってみた」という子どもたちの記憶をディスプレイすることができます。

    【その3】ピカピカでなくていい

    画像: 【その3】ピカピカでなくていい

    「ブッチャーズテーブル」という名前のダイニングテーブルは、肉屋が使うテーブルをイメージした檀さんのデザイン。分厚いカラマツの天板が特徴。使い込むほどに味わいの増す家具は傷も気にならず、家族で過ごした記憶がそのまま刻まれるよう。

    「古いもの、風化したものを暮らしに取り入れると、雰囲気がよくなるし、子どもが汚したり、傷つけたりしても気にならなくなるからラクチンなんです」と理世さん。

    【その4】気を抜く場所をつくる

    画像1: 【その4】気を抜く場所をつくる

    リビングダイニングには、収納家具を置かない代わりに、すべてをまとめてしまえる収納スペースをつくりました。器から電化製品、冷蔵庫までが扉の中に。多少散らかっていても、扉を閉めてしまえば部屋がすっきりと片づくから安心。

    このほか、おもちゃや、日用品のしまい場所は寝室代わりの和室に。すべてを完璧にしつらえることなく、こうして「とりあえず突っ込める」場所があると、気持ちもラクになります。

    画像2: 【その4】気を抜く場所をつくる
    画像3: 【その4】気を抜く場所をつくる


    <撮影/有賀 傑 取材・文/一田憲子>

    須長 檀、理世(すなが・だん、みちよ)
    夫の檀さんは、スウェーデンで活躍してきた経歴を持つ家具デザイナー。障害を持つ人とともに作品を生み出すデザイン工芸アトリエ「コンスト」クリエイティブディレクターでもある。理世さんはテキスタイルデザイナー。現在は「ナチュールテラス」や新たにオープンした店「lagom(ラーゴム)」のディレクターも務める。https://sunagadesign.com/
    lagom https://lagom-miyota.com/
    NATUR terrace https://natur-karuizawa.com/
    福祉+デザインのアトリエ konst https://konst.jp/

    画像4: 【その4】気を抜く場所をつくる

    <訪ねた人>
    一田憲子(いちだ・のりこ)
    編集者・ライター。企画から編集、執筆までを手がける『暮らしのおへそ』『大人になったら、着たい服』(共に主婦と生活社)を立ち上げ、取材やイベントなどで、全国を飛び回る日々。著書に『もっと早く言ってよ』(扶桑社)、『すべて話し方次第』(KADOKAWA/3月28日発売予定)ほか多数。サイト「外の音、内の香 」を主宰。https://ichidanoriko.com/
    「暮らしのおへそラジオ」を隔週日曜日配信中。

    ※記事中の情報は『暮らしのまんなかvol.36』本誌掲載時のものです

    * * *

    別冊天然生活『暮らしのまんなか』vol.38

    別冊天然生活
    『暮らしのまんなか』vol.38

    別冊天然生活『暮らしのまんなか』vol.37

    amazon.co.jp

    一田憲子さんが編集を手がける『暮らしのまんなか』vol.38。暮らしの実例12軒でお見せします。

    1章は「自然とつながって暮らす」。いつものキッチンの水道の下に、大きな海がつながっているとしたら……。そんな視点で暮らしを点検したら、洗剤の選び方や、器の洗い方が変わってくるかもしれません。ちょっとした「意識」の変化をきっかけに、自然とつながって暮らすことを選んだ、3人の暮らし方を紹介します。

    2章は「私時間を過ごすリビング」。忙しい毎日のなかでは、家事や育児に追われていつの間にか「私自身」が迷子になりがちです。そんなときは、一番多くの時間を過ごすリビングを見直してみませんか? 本をじっくり読んだり、刺しゅうをしたりすれば、大事なものを思い出すことができそうです。

    3章は「サステナブル=持続可能な収納」。あれこれ収納グッズをそろえて、部屋を片づけても、1週間もしたら、またごちゃついて……。収納で一番大事なことは、サステナブル=持続可能であるということ。「私でもできること」を見つけ、長持ちする収納システムをつくってきた、5人を取材しました。



    This article is a sponsored article by
    ''.