(『天然生活』2022年5月号掲載)
朝食で体調を整え、病気に負けない心と体を
「免疫力は自律神経の働きが大きく作用します。そのため睡眠、食事、運動の3つが免疫力アップの基本です。ストレスも免疫力を低下させるので、リラックスして心の安定を保つことも大切です」
免疫力向上には一日の始まりである朝の過ごし方が、最も重要になってきます。
「朝は自律神経の切り替えのタイミングなので、朝食で体調を整え、朝から活動的に過ごしたり、心で小さな幸せを感じたりすることで免疫力を高めることができます。さらに朝の過ごし方は夜の睡眠の質にも大きく影響します」
朝にやりたい免疫力を高める習慣
朝に飲む水は、鉄瓶で沸かす
女性に多い「貧血」は血液中の「ヘモグロビン」不足が原因の症状。全身に酸素を届けて老廃物を受け取るヘモグロビンは、鉄分が不足すると体内で十分につくれなくなります。
そのため、めまいや立ちくらみ、倦怠感、イライラ、集中力がなくなるなど、心身にさまざまな症状が現れてしまうのです。
レバーやほうれんそうなどの鉄分が豊富な食材を積極的に食べるのも方法ですが、食事だけで十分な量を摂るのは難しいのも事実。
そこで、「南部鉄器で沸かした白湯を飲んだり、お茶を淹れたり、料理に使うことで、手軽に鉄分補給ができます。やかんに入れるだけの卵形の南部鉄を使ったり、鉄スキレットや鉄のフライパンで調理したりするのも効果があります」。
朝にやりたい免疫力を高める習慣
朝食のトーストにはハムを2枚のせて
朝は食欲がないからと、パンとコーヒーだけで簡単にすませてしまう人もいます。しかし、朝こそ、しっかりタンパク質を摂って免疫力を上げたいもの。
「タンパク質を摂ると代謝がアップして脂肪が燃焼。体温が上昇することで、免疫力が高まります」
タンパク質に多く含まれるアミノ酸には、体内時計を調整する作用もあり、睡眠リズムを自然と整えてくれます。
タンパク質たっぷりの朝食にするには、肉や魚、卵、大豆などを加えるのがベストですが、時間がないときはトーストにハムを2枚、もしくはスクランブルエッグをのせるだけでもOK。
無理をせずに、「タンパク質をいつもより多めに摂る朝食」を意識することから始めてみましょう。
朝にやりたい免疫力を高める習慣
朝のデザートにはカットフルーツ
「朝のフルーツは金」という言葉があるほどいいことだらけ。カットフルーツなら食べやすく、豊富な食物繊維が腸内環境を整え、血糖値の上昇も抑えます。
ビタミンやミネラルが豊富で、忙しい朝でも手軽に栄養補給ができるのも便利。色の濃い果物には「フィトケミカル」と呼ばれる自然の化学成分が含まれます。
「カテキン」や「リコピン」もそのひとつ。フィトケミカルには抗酸化作用、免疫力アップ、肥満予防の効果があります。
また、クエン酸を多く含むレモンや柑橘類は、疲労回復にもプラス。
「ビタミンCが豊富なキウイやバナナ、いちごなどは毎朝食べたいフルーツ。また、旬のフルーツには、その時季の体調を整えてくれる効果もあります」
〈監修/工藤孝文 イラスト/松栄舞子 取材・文/工藤千秋〉
工藤孝文(くどう・たかふみ)
福岡県みやま市の工藤内科院長。福岡大学医学部卒業後、アイルランドとオーストラリアへ留学。現在は同院で地域医療を担うかたわら、テレビ、雑誌などメディアで活躍。専門は糖尿病・甲状腺・高血圧・脂質異常症・肥満症などの生活習慣病、漢方治療など。著書に『ウイルスに負けない親子の免疫力アップ生活術』(主婦と生活社)ほか多数。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです