(『天然生活』2021年3月号掲載)
いとおしく、ていねいに春を迎えるための家時間
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
「一年のなかで、春が一番好きです。ラナンキュラスやスカビオサなど、小さな花びらがぎゅっと詰まった、淡い色合いの好みの花がそろっているからでしょうか」
内田彩仍さんは、26年間住んだマンションから、小さな一戸建てに引っ越したばかり。家を探すときの第一条件は窓からの眺望だったそうです。
「新居のすぐ横が桜並木なんです。さらに隣家の木々が、季節ごとに花や実をつける様子を眺められる景観も楽しみ。桜の枝の端が、ちょっと膨らんでくると、春がきたなあと感じます」
小さな春を見つけたら、まず取りかかるのが、家中の布ものを洗濯すること。
冬は寒暖差が激しく、湿気がたまりやすいので、カーテン、クッションカバー、ブランケットなどをさっぱりと洗い上げます。クッションカバーをかけたらピシッとアイロンをかけることも忘れません。
そのほかにも、春物のニットにブラシをかけたり、靴にオイルやクリームを塗って準備したり。
「春だから、というよりも、定期的に手入れをしています。靴も洋服もケアすることで、5年10年とずっときれいなまま着つづけることができますから」
暮らしに手をかけ心地よくすること……。それがいま、内田さんが一番の「幸せ」と感じる時間なのだといいます。
家の布ものを洗濯できれいに一新
3月になって春風が吹いたら、カーテンやクッションカバー、ブランケットなど家中の布ものを洗う。
「汚れるたびにきれいにしますが、冬は布ものが湿気やすいので春先には必ず全部洗濯しています」
クッションカバーはアイロンをかけてから中材をセットし、さらにもう一度その上からアイロンを。カバーがきちんとフィットして、ソファに並べた姿がより美しくなるように。
春色の切り花で暮らしを彩る
春先は、大好きな色、香りの花がたくさん出まわるので花屋に行くのが楽しみなのだとか。
花だけが目立つのではなく、インテリアに溶け込むように、小分けにして、さりげなく活けるのが内田さん流。
リビング、寝室、玄関など、4〜5カ所に活ける。毎朝、家中の花をキッチンに集め、水を替えるついでに花器を洗い、切り戻しをして、最後の、最後の1輪までも楽しむ。手をかける時間も大切に。
きれいに整えた春色の服に合う靴を手入れ
「春は白を着たくなりますね。そこにやさしいベージュをプラスするのが、いまの気分」と内田さん。
ニットにはカシミヤ用のブラシをかけると、毛羽立ちがなくなり美しく蘇る。
靴は定期的に手入れをして10年以上履いているものがほとんど。春前にも、すべての靴を出し、オイルとクリームを塗ってひとつずつていねいに手入れを。
服は、何を着て行くか必ず前日に決めて吊るしておく。
明るい色の食器に入れ替え
キッチンにある食器棚は、季節に応じて手前と奥の食器を入れ替える。
秋冬には、手前に茶色やグレーなどのシックな色を。春になると明るい色のものを前面に。平皿は、重ね方を変えて。
春になると、一番上にイエローやブルーなどの明るい色を、落ち着いた色みの皿は下に、といった具合。
「食器棚の扉を開けてパッと目に入る色を替えるだけで、春らしい明るい気分になれると思います」
ハーブやビオラなどを植える
一戸建てに引っ越して、楽しみなのが庭仕事。
基本的に、ハーブ類などグリーン中心の庭が好き。最近ホームセンターで見つけたのは、珍しい黒色のビオラ。
「5〜6年前にビオラを植えたら、1年中ずっと咲いてくれるんです。毎年春にささやかな花があるとうれしいので、それからビオラを選んで買っています」
地植えにすると、どんどん広がって手入れがしにくいので、鉢植えにしているそう。
<撮影/大森今日子 取材・文/一田憲子>
内田彩仍(うちだ・あやの)
福岡県に夫、愛猫と暮らす。ていねいな暮らしぶり、センスある着こなしが人気を集める。近著は『変えること変わらないこと』(主婦と生活社)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです