• 大人世代が抱える「こころとからだ」のお悩みや疑問について、頭痛・漢方専門「らいむらクリニック」の來村昌紀先生が、やさしく回答。今回は、生え際の白髪が気になってきたという、きのっぴさんのお悩みにアドバイスをお送りします。

    : 白髪が気になります。効果のある食事方法や食べものは?

    画像1: 白髪が気になる! 白髪を増やす原因5つと予防&回復に役立つ食習慣・漢方|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    最近急に増えてきて……落ち込んでしまいます

    生え際の白髪が気になってきました。一気に老け込んでしまったように感じて、鏡を見ると少し憂鬱な気持ちになります。

    血流が悪くなったり疲れたりすると増えるのかなと思い、頭のマッサージなどもした方がよいかなと思っていますが、対策はありますか?

    白髪に効く食べもの、悪化させる食べものなどがあれば知りたいです。漢方も関係はあるのでしょうか?

    (きのっぴ さん/40代・自営業)

    :白髪の予防・回復に役立つ食べものと漢方があります。ストレスをためないことも大事

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    主な原因は5つ。ひとつずつ見ていきましょう

    白髪の原因は「遺伝」「加齢」「生活習慣」「病気」「ストレス」

    最近、生え際の白髪が気になってきたのですね。私も横の白髪が少し気になってきています。

    まずはできたばかりの髪の毛は全て白髪って知っていましたか?

    だから髪の毛は白い状態から始まります。その髪の毛が成長する過程でメラニン色素を取り込むことで髪の毛が黒くなります。このメラニン色素を作る細胞が色素細胞です。

    そして、その色素細胞を生み出すのが色素幹細胞です。この色素細胞や色素幹細胞が正常に機能しなくなることで白髪になります。

    白髪は徐々に生える部位が広がり、増えていくケースがほとんどなのですが、白髪がどこから、どのように増えていくかは、人によって色々なパターンがあるようです。

    白髪の原因は主に5つで、遺伝加齢生活習慣病気ストレスが挙げられます。ではひとつずつ見ていきましょう。

    原因1 遺伝

    ひとつ目の遺伝は、両親が白髪だからといって、必ずしも白髪になるわけではないのですが、稀には遺伝的要因により先天的にメラニン色素を生成することができず白髪になる人がいます。

    原因2 加齢

    2つめの加齢は、年齢とともに色素細胞や色素幹細胞の働きは衰えてきます。個人差はありますが、日本人の場合、男女とも35歳すぎから白髪が生え始めるといわれています。

    原因3 生活習慣

    3つ目は生活習慣です。食生活の偏りで、頭皮の血流や栄養が悪くなり、白髪になるといわれています。油っこい物や甘いものの取りすぎや逆に偏った食事や無理なダイエットなどで栄養不良もよくないといわれています。

    バランスのよい食事を心がけてください。髪の毛によいとされている栄養素にはタンパク質、ビタミン類、カルシウム、亜鉛、銅、鉄などのミネラルがあります。

    健康で丈夫な髪を育むには良質なタンパク質をとることが大切です。乳製品肉類魚介類大豆類をとりましょう。

    頭皮の血行をよくしたり、栄養の吸収をよくするビタミン類は複数のビタミンがそれぞれの役割を持っているので、バランスよくとることが大切です。

    レバー・豚肉・魚類にはビタミンBが、卵黄・アーモンド・ウナギにはビタミンEが豊富です。緑黄色野菜にもビタミン類が豊富です。

    カルシウムは色素細胞の働きを活発にしてくれます。乳製品小魚海藻類大豆黒胡麻小松菜などに多く含まれています。

    髪の毛に必要なミネラルの亜鉛は牡蠣海藻類レバーナッツ類黒胡麻などに多く含まれます。

    亜鉛はクエン酸やビタミンCと一緒に摂取すると体内に吸収されやすくなるため、生牡蠣牡蠣フライにレモンを絞っていただくのも効果的です。

    鉄や銅も黒い髪に欠かせないミネラルの一つで、メラニン色素を作るチロシンキナーゼという酵素を活性化する役割を持っています。エビイカレバーナッツ類大豆黒胡麻などをとりましょう。

    原因4 病気

    4つ目は病気です。メラニン色素の産生に悪影響を及ぼす疾患としては甲状腺機能低下症や色素細胞が何らかの原因で減少または消失し、皮膚の色が白く抜けてしまう病気である尋常性白斑、色素細胞に対しての自己免疫疾患である原田病などが知られています。

    原因5 ストレス

    5つ目はストレスです。ストレスが長期間続くと交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、メラニン色素を産生する色素細胞を作り出す色素幹細胞が減少し、新しく成長する髪に対して色素細胞が不足するため、白髪になることが知られています。

    自分なりのリラックスできる趣味や適度な運動を日常生活に取り入れてください。

    「白髪を抜くと増える」は本当?

    白髪は抜くと増える? と聞いたことがある人もいると思いますが、これは医学的には証明されていません。

    ちょうど増え始める頃に気になって抜くことからこのような風説が生まれたのかもしれませんね。

    逆に髪の毛を抜くと頭皮にダメージを与えてしまう可能性もあり、抜くよりもカットしたり、白髪染めをすることをおすすめします。

    紫外線も頭皮や髪の毛にダメージを与えますので、外出時には帽子や日傘など紫外線を防ぐことも重要です。頭皮マッサージなどで頭皮の血流をよくすることも効果的です。

    頭皮には自律神経を調整する百会や防老などのツボもあるため、ツボ刺激をすることでリラックス効果も得られます。

    白髪の予防、回復におすすめの漢方

    漢方では白髪を含めた老化による現象を腎虚(臓器の腎臓ではありません、生命のエネルギー不足を意味します)と考えます。

    そのため、エネルギーを補給し、老化を予防する補腎剤である八味地黄丸(はちみじおうがん)などが用いられます。

    私の患者さんで白髪の短髪の男性が、八味地黄丸で黒い毛が生えてきて、ごま塩頭になったという方もいますし、私の妻も白髪染めで美容室に行く頻度が減ったと喜んでいます。

    貧血などの栄養素不足は血虚といって、血を補う補血剤である四物湯(しもつとう)などが使用されます。

    漢方では黒い物、先ほどもあげた黒胡麻や黒豆、ワカメや昆布などの海藻類などを摂るとよいといわれています。

    この記事がきのっぴさんはじめ、白髪で悩む皆様の少しでもお役に立てれば幸いです。

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    〈イラスト/コグレチエコ〉

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    來村昌紀(らいむら・まさき)

    頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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