現代も愛されている暦・二十四節気。細かく分かれた季節から多くを感じます。和暦・和文化研究家の高月美樹さんに、季節を感じて五感を刺激する和暦の暮らしについて伺いました。旬の恵みで季節を体に取り込む「食べる」季節のあそびをご紹介します。
(『天然生活』2022年5月号掲載)
(『天然生活』2022年5月号掲載)
和暦を「体感」して自然と交わる
「旧暦を使うようになって、いままで見えていなかったものに気づけるようになった、地に足の着いた暮らしができるようになったという感想をよくいただきます」
「古いものが好きだから」旧暦を使うのではなく、自然に寄り添う感覚を磨くための助けとなるものと思うのがいい、と高月さん。
情報や日付にばかり頼らず、自分の五感を使って、季節や気象の変化を受け取れるようになることこそが、和暦の楽しみ。和暦を「体感」していくことで、自然と深く交われるようになるのです。
「いまでもポピュラーな行事・春のお彼岸も、もとは、『日の願』と呼ばれる太陽を拝む原始信仰がルーツ。多くの行事の始まりは『自然との交感』にあるんですよ」
味わう
旬の恵みを口にし季節を体に取り込んで
暮らしのなかで一番、季節感をキャッチしやすいのが食事。とくに春は、「この季節限定」食材が多く並びます。
七十二候に「竹笋生(たけのこしょうず)」があるように、たけのこはいまが旬。
「土から少し顔を出すか出さないかの期間に限って採れるたけのこには、明快な旬を食す喜びがあります」
<撮影/近藤沙菜、高月美樹 取材・文/鈴木麻子>
高月美樹(たかつき・みき)
和暦、和文化研究家。2003年より月と暮らす旧暦手帳『和暦日々是好日』の製作、発行を手掛ける。『まいにち暦生活』(ナツメ社)など暦に関する本の監修や、講演も行う。手帳はウェブサイトにて販売している。https://www.lunaworks.jp/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです