(『天然生活』2022年6月号掲載)
においの出ない洗い方
部屋干し臭を防ぐには、しっかり汚れを落とすことが最初のステップです。
「洗濯機まかせでは、水や洗剤の量が汚れに対して適正とはいえないことがほとんど。それではいくら洗濯しても、汚れやにおいが残ったままです」
実は、洗濯機できれいに洗える適正量は、容量の7~8割にすぎません。
「容量いっぱい洗濯物を詰めこんでも、水の中でうまく回転できず、汚れを洗い流すことができません。適正な水量の目安は、少なくとも洗濯物の10倍。一度、洗濯物を持ったまま体重計に乗ってみると、重さのイメージがつきやすくなると思います」
洗濯機の水と洗剤を多めに調整
洗剤の量は、洗濯物の重さではなく汚れのひどさに合わせて判断するのが正しい洗濯術。
「食器を洗うときに食器の重さではなく、汚れのひどさで洗剤の量を変えるのと同じです」
薄着の夏は洗濯物の重さは軽くても、汗や皮脂量が増えるので汚れが多くなります。洗濯機の洗剤と水を多めに調整して、しっかりと汚れを落とすようにしましょう。
汚れが激しい場合は前洗いを
襟や脇、袖口の皮脂汚れ、泥汚れといった落ちにくい汚れは、洗濯機に入れる前に前洗いを。
皮脂汚れは固形石けんを塗りつけてそのまま洗濯機へ。泥汚れは一度泥を乾かしてからていねいにブラシで取り除き、固形石けんで揉み洗いしてから洗濯機へ。
汗汚れは水で落ちるので、洗濯機に入れる前に水で簡単に前洗いをするようにします。
洗濯にはお湯を使うのがベター
石けんや過炭酸ナトリウムは40~60℃のお湯によく溶けて効果を発揮します。洗いには、ぜひお湯を使うようにしましょう(*)。
洗面台や浴室からお湯を引くほか、洗面器にお湯をためて移す方法もあります。お風呂の残り湯を使うときは、入浴後すぐの温かいお湯を使うこと。
30℃以下になった残り湯は雑菌が繁殖しているので、洗濯への使用には不向きです。
*洗濯機の対応温度以下のお湯を使うこと。
梅雨前に洗濯機をきれいにする
洗濯槽にカビが生えやすくなる梅雨前に、洗濯機をきれいにして黒カビを取り除きます。
カビは水では取れないので、必ず50℃前後のお湯を使用。縦型の洗濯機は過炭酸ナトリウム2カップを溶かして5時間つけ置き、ドラム式は1カップを溶かして槽洗浄コースで。
一度しっかりきれいにしたら、縦型は月1回、ドラム式は2~3週間に1回、定期的に槽洗浄を。
洗濯機を清潔に保つコツ
洗濯槽の雑菌や黒カビは、部屋干し臭の原因になるだけでなく、洗剤が泡立たずにきれいに洗えなかったり、洗濯物に雑菌がつくことに。
洗濯機周りのほこりや洗剤投入口の汚れは常にきれいにする、ごみ取りフィルターのごみも洗濯のたびに取り除いて洗うなどは習慣にすると楽です。
洗濯機のある洗面所の窓を開ける、壁掛け式のサーキュレーターを設置するなど、洗濯機周りの空気が常に流れていることも大切です。
洗濯前
洗濯前の使用済みタオルで洗濯機の外側やフチのほこりや汚れをさっとふき取る。汚れたタオルはほかの汚れ物と一緒に洗濯する。
洗濯後
ごみ取りフィルターのごみは雑菌のエサ。洗濯後は必ずごみを取り除いて、フィルターをブラシでていねいに洗って乾かす。
縦型もドラム式も、洗濯機のフタは開けっぱなしにして、中を乾かす。汚れ物は洗濯槽にためずに、専用のかごを用意する。
<監修/本橋ひろえ イラスト/須山奈津希 取材・文/工藤千秋>
本橋ひろえ(もとはし・ひろえ)
ナチュラルクリーニング講師。北里大学衛生学部化学科卒業後、化学薬品企業に就職。出産後、専業主婦となるが、自身と子どものアトピー体質をきっかけに、掃除や洗濯、洗剤を科学的に解説するナチュラルクリーニング講座をスタート。著書に『ナチュラルおせんたく大全』(主婦の友社)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです