• 自然豊かな奄美大島でハーブを育てながらハーバリストとして活躍する石丸沙織さん。地域の人々にハーブをもっと身近に感じてもらえるように、石丸さんが取り組んでいる活動についてお話をうかがいました。
    (『天然生活』2023年6号掲載)

    ハーブをもっと、暮らしに身近な存在にするために

    前回のお話はこちら

    英国留学時代に石丸さんにとって印象的だったのは、暮らしとハーブとの距離の近さでした。

    「グラスゴーという街で、ハーブ薬局でアルバイトをしていたことがあるのですが、『孫が風邪をひいたから、お茶が欲しい』とおじいさんが来たり、『にきびができちゃった』と中学生くらいの女の子が買いに来たり。

    数百円程度のお金でハーブがたっぷり買えるし、健やかに過ごすためにハーブを活用する習慣がごく当たり前にあったんです」

    地域コミュニティーのハーバリストとして

    英国のハーバリストは環境問題や難民問題などに積極的に発言を行い、社会的な活動を行う人も多かったそう。

    自生するハーブを乱獲することで自然環境を破壊することはないか、紛争などで祖国を離れざるを得なかった人々の健康をハーブで支えることはできないか。

    単なる個人の健康のみならず、「人が健やかに暮らすこととは、どういうことか」を積極的に考え、行動する姿に心を打たれたそうです。

    「奄美で同じことを実践することはできませんが、この場所だからこそできることを、少しずつかたちにしていっています」

    その一歩として石丸さんは2023年の春、アトリエを構えました。

    いままで自宅の一部で行っていたハーブ相談をここで行うとともに、ハーブ教室やハーブを活用したワークショップなどを開催し、地域の人々にハーブを身近に感じてもらえる機会を設けています。

    画像: 2023年初めにオープンした石丸さんのアトリエ

    2023年初めにオープンした石丸さんのアトリエ

    画像: 石丸さんのアトリエに並ぶ、ドライハーブ。手前のかごはターメリック。

    石丸さんのアトリエに並ぶ、ドライハーブ。手前のかごはターメリック。

    お菓子研究家の長田佳子さんと一緒に続けてきたハーブ教室も、2023年で6年目となりました。

    教室に参加された生徒さんや、噂を聞きつけたお客さまが奄美を訪れ、体調に合わせたハーブ相談を行う機会も増えてきたそうです。

    「時間をかけてお話を伺ったあと、奄美の自然に身を置いてもらいます。

    とくに何をするでもなく、波の音や鳥の声に耳を澄まし、砂や潮風を感じてみる。不思議とそれだけで、調子が整っていく人も少なくありません。

    自然療法の多くは、『自分も自然の一部』と気づくことからいやしが始まります。ハーブを身近に感じることも、そういう気づきの一歩になれると思います」

    画像: ハーブ相談は、カウンセリングにじっくり時間を費やして

    ハーブ相談は、カウンセリングにじっくり時間を費やして

    画像: 自宅のハーブ保管室。奄美は気温と湿度が高いので、1年を通じて空調を行う

    自宅のハーブ保管室。奄美は気温と湿度が高いので、1年を通じて空調を行う

    画像: 書斎にはハーブ関連ほか、自然療法の本がずらりと並ぶ

    書斎にはハーブ関連ほか、自然療法の本がずらりと並ぶ

    画像: アトリエに飾られたヒンメリ(フィンランドの伝統的な装飾品)は、ハーブ畑で収穫した麦を材料に石丸さんが手づくりしたもの

    アトリエに飾られたヒンメリ(フィンランドの伝統的な装飾品)は、ハーブ畑で収穫した麦を材料に石丸さんが手づくりしたもの

    画像: 作家の方に特注した、アトリエのステンドグラスの看板

    作家の方に特注した、アトリエのステンドグラスの看板

    次回は、石丸さんに、ハーブを使ったお手当て「ハーブビネガーチンキ」を教えていただきます。どうぞお楽しみに!


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    ▼石丸沙織さん「奄美大島でハーブと暮らす」そのほかの記事はこちら▼

    奄美大島でハーブと暮らす >>



    〈撮影/砂原 文 構成・取材/田中のり子〉

    石丸沙織(いしまる・さおり)

    英国メディカルハーバリスト、アロマセラピスト。イギリスでハーブ医学を学んだのち、東京、香港を経て、2011年より鹿児島県奄美大島在住。地域に根差したハーバリストとして、身近なハーブを暮らしに取り入れたケアを広めている。菓子研究家・長田佳子さんとの共著に『ハーブレッスンブック』(アノニマ・スタジオ)、訳書に『フィンランド発 ヘンリエッタの実践ハーブ療法』(フレグランスジャーナル社)がある。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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    『ハーブレッスンブック』(石丸沙織・長田佳子・著/アノニマ・スタジオ・刊)

    画像: ハーブをもっと身近な存在にするために/ハーバリスト・石丸沙織さん

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    メディカルハーバリストの石丸沙織さんと菓子研究家・長田佳子さんは2018年より「herb lesson」を開催してきました。ハーブのテイスティングとそのシェアリングに時間をかけ、教科書的なハーブの知識だけではなく、それらが使う人の心身にどのように響くかを大切にしています。

    ハーブティー、ブレンドの考え方、ハーブバス、チンキなどのレメディ、ハーブの風味を味わうお菓子を暮らしに取り入れてみましょう。自分の感覚を大事にする、こころとからだを癒すセルフケアの方法やアイデアをご紹介します。

    ハーブとの出逢いを通して、新しい自分に出逢える一冊です。



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