(『天然生活』2023年6月号掲載)
山本ふみこさんのむだを見直した、いまの暮らし
10分の1まで減らした本
なぜその本を持っているのか思い出せなかったり、知らないうちに入り込んでしまったりした本を、思い切って処分したそう。
「障がいをもつ皆さんが仕事をしている東京・武蔵境の古書店を応援したくて、成り行きで減らしすぎてしまった面もありますが、たくさん寄付できたこと、よかったなぁと思っています」
祖母の嫁入り道具を食器棚に
土間仕様に合う食器棚を探したものの見つからなかったときに、蔵で発見したのが夫の祖母の嫁入り道具だった下駄箱でした。
「ごしごし洗って、『あなたには、これから食器棚になってもらいます』と、よくよく転職について説明をして。夫の母の嫁入り道具の下駄箱は使っているから、こちらは変身させて、有効活用しています」
ぎゅう詰めだったお位牌に余裕を
仏壇の中に詰まっていたお位牌を、床の間横の棚の上に広げて置くことに。
「仏壇があまりにも立派すぎて、仏具もたくさんあり、私には手に負えなかったんです。風通しがよくなり、どのお位牌がだれかわかるようにもなって、大事に思う気持ちが増しました。毎朝、『いつもありがとう』と手を合わせ、お線香をあげています」
身の丈に合った畑仕事
6反の田んぼで米と麦を二毛作し、畑でブルーベリーを育てて出荷している山本さん。それとは別に、庭で野菜を育てています。
「去年はがんばりすぎて、たくさん植えたのに天候不順や夫婦ふたりでは面倒を見切れず、ダメにしてしまった苗がありました。今年は無理せず、育てやすいものを自分たちの食べられる分だけ育てています」
干して、余さずいただく
庭に面した日当たりのいい縁側で、大根やにんじん、かぶの皮、きのこなどを切り干しに。
「縁側なら鳥に食べられる心配もなく、ただ出しっぱなしにしておけばいい、ずぼらな私にぴったりの場所。干したては水でもどして酢のものでもおいしいし、乾燥しきったものは味噌汁に入れてもいい。いろいろなアイデアもわいてきます」
〈撮影/代島治彦 取材・文/長谷川未緒〉
山本ふみこ(やまもと・ふみこ)
北海道生まれ。随筆家。「ふみ虫舎エッセイ講座」主宰。2021年に、東京から埼玉県熊谷市へ移住。築150年の古民家に暮らす。近著に、移住先での新しい暮らしや家族のこと、仕事のことを綴った『あさってより先は、見ない。』(清流出版)。
webサイト:https://www.fumimushi.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです