• インテリアも、収納も、道具選びも大切です。今回は、自分にとっての“心地いい”を見つけた3人の素敵な台所の中から、庭の料理家・藤田みどりさんの台所を紹介します。
    (『天然生活』2021年9月号掲載)

    土間は、庭のおいしいものを食卓へつなぐ存在

    夏は信州、冬は北鎌倉と居を移し、一年を通して、庭と台所を一体化させた暮らしを楽しんでいる藤田みどりさん。今回お邪魔したのは信州の夏の家です。

    画像: 夕方になると窓の外に美しい夕景が広がるキッチン。流し&調理台は機能性を重視してステンレス製に。調理小物は使い勝手を考えて、吊るし収納が基本

    夕方になると窓の外に美しい夕景が広がるキッチン。流し&調理台は機能性を重視してステンレス製に。調理小物は使い勝手を考えて、吊るし収納が基本

    「この家は、私が理想とする『おいしい庭』を実現したくてつくりました。日本でなかなか手に入らない果樹や野菜、ハーブなども自分で種や苗を探して、育てているんですよ」と藤田さん。

    画像: 草も絵になるような藤田さんの庭。ハーブティー用にミントを摘んで

    草も絵になるような藤田さんの庭。ハーブティー用にミントを摘んで

    画像: 天気のよい日は庭のテントで食事をとることも。お手製ディップやソースが大活躍

    天気のよい日は庭のテントで食事をとることも。お手製ディップやソースが大活躍

    もちろん、ここでの生活は庭が主役。「キッチンはその庭のためのものだから」と、庭と一体化するようつくってあります。

    その一番の特徴は、キッチン全体が土間になっていること。

    土間といっても、日本の田舎の家によくある地面むき出しのものではなく、サビ御影石を敷き詰めたスタイル。ここにも、藤田さんのセンスが反映されています。

    「土間キッチンは、収穫した泥付きの野菜も気兼ねなくそのまま持ち込めるのがいいんです。料理の途中に、あのハーブを入れたいなと思えば、すぐに庭へ摘みに行けますしね」と藤田さん。

    土間は、庭のおいしいものを食卓へつなぐ、なくてはならない存在なのです。

    画像: サビ御影石を敷き詰めた土間キッチン。その中央に、暖房と煮炊き用のかまど機能を備えたエストニア式のかまどストーブがある

    サビ御影石を敷き詰めた土間キッチン。その中央に、暖房と煮炊き用のかまど機能を備えたエストニア式のかまどストーブがある

    そしてキッチンのもうひとつの主役が巨大なレンガづくりの暖炉です。

    「かまどがある家に育ったので、ここにも北欧式の蓄熱暖炉とかまどを合体させたものが欲しかった」と藤田さん。

    エストニアで修業した職人さんにめぐり会えて、イメージ通りのものができたといいます。

    かまど部分に薪をくべると天板全体が温まり、鍋をたくさんかけられて便利なのだそう。「コトコト煮るのにもいいし、保温しておくのにも重宝します」

    画像: 蚕室(さんしつ)造りの古い農家を改造した家には、家具も食器も古いものが似合うと、骨董の中から気軽に使えるものを中心にそろえた

    蚕室(さんしつ)造りの古い農家を改造した家には、家具も食器も古いものが似合うと、骨董の中から気軽に使えるものを中心にそろえた



    〈撮影/山田耕司 取材・文/野上郁子(オフィスhana) イラスト/ホリベクミコ〉

    藤田みどり(ふじた・みどり)
    料理家・画家。神奈川県・北鎌倉と、信州・塩田平に家と庭を持ち、ふたつの家を行き来しながら、庭で育てた食材で、滋味あふれる料理や四季折々の保存食づくりを楽しんでいる。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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