(『天然生活』2021年5月号掲載)
体が元気になったことで、朝時間も楽しめるように
朝7時、起床。キッチンへ行き、お湯を沸かすことから一日が始まります。
お香を焚いたら白湯を手にテラスへ移動。朝日を浴びながら呼吸を整え、体をゆっくりと伸ばしていきます。
根っからの夜型だった久美子さんですが、最近はすっかり朝型に転換。きっかけは2020年の秋に手術を受けたことだそう。
「昔から持病があり、それが悪化してしまったんです。加えて子どものころからひどい貧血で。低血圧の症状が強く、朝はベッドから起きられないどころか腕も上がらないほどでした」
仕事の過労も重なり、手術を決意。術後は、とてもすこやかな状態に。一番の変化が朝の目覚めだったといいます。
「7時ころには目がぱっちりと覚めてシャキッと動き出せるんです。いままでは午前中いっぱいは使いものにならなかったので、それがもう、うれしくて」。
夫の開人さんも隣でうなずきます。「僕や子どもたちもその変化にびっくり。いまでは家族のだれよりも朝からパワフルに動き回っていますよ」
朝食は、ビュッフェスタイルで各自が食べたいものを
日課のストレッチが終わるころには子どもたちも起き始め、朝食の準備に取り掛かります。
炊きたてのおかゆにサムゲタン、とりどりのおかず……。ずらりと並んだ朝ごはんのおいしそうなこと!
「昼や夜はそれぞれのタイミングで食べることも多いので、家族全員がそろうのが朝ごはんなんです。各自が食べたいものを取り分けられるようビュッフェスタイルのようにしています」
話をしながら、1時間ほどかけてゆっくり食べる日も
家族でいろいろな話をしながら食事を楽しむのがいま現在の岩野家の朝の風景ですが、それが定着したのはここ1年ほどのこと。
「コロナ以前は下のふたりが海外の学校に通っていて。私たちの仕事も海外にも拠点があり交代で行き来するスタイルが続いていました。とても楽しかったけれど夫と私がほぼ同時に体を壊してしまって。いま思うとオーバーワークだったんですね。いまはそのときの10分の1以下の仕事量といってもいいほど。でも、何より家族の時間が増えたし、目の前の仕事に全力で取り組めています。いまが一番いい状態なんです」
そういって目を細めて笑う久美子さん。今日も朝から元気に動きまわっているに違いありません。
久美子さん流 一日のリズムをつけるスイッチの切り替え方
散歩をして花を飾る。その日課から洋服づくりのアイデアが生まれることも。久美子さんの五感を刺激するスイッチです。
裏山に散歩に出て歩きながらミーティング
朝食後、コーヒーを飲んだら夫と「ミーティング」を兼ねた散歩へ。自宅と目と鼻の距離にある裏山は格好の散歩コース。
春にはさわやかな風を感じ、夏には新緑を横目に、秋は落ち葉を踏みしめ、冬にはシンとした空気に包まれる。
四季折々の自然から感じる色、形、においなどは久美子さんの五感を刺激し、作品づくりに密接に関係しています。
花を活けながらエネルギーチャージ
久美子さんの暮らしや仕事に欠かせないもののひとつが花や植物の存在。
お花屋さんで購入したものや近所の縫い子さんの自宅で咲いた花、裏山で見つけた名もなき草花など、さまざまな花や植物があちこちに点在しています。
「植物を切ったり挿したりすると気分転換になるんです。無意識に選ぶ花から、制作のヒントをもらうこともあります」
〈撮影/柳原久子 取材・文/結城 歩 構成/鈴木麻子〉
岩野久美子(いわの・くみこ)
群馬・桐生市で夫の岩野開人さんと洋品店を営む。毎月7日間だけ店を開き、日本や海外からもお客さんが訪れる。「リップル洋品店」を15年間営み、現在は「ezu(エズ)」として活躍中。
インスタグラム:@ezuezuezuezuezu_official
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです