最近、夕食の食べ方を変えました
最近「変えてよかった」と思うもののひとつが、食事のいただき方です。夕食時、作ったものをテーブルに一度にならべるのではなく、最初は「おかず」だけにしました。食べ終えたところで「ごはん・お味噌汁・香の物」を用意する。えっ!? と思われる方、いらっしゃいますよね。でも、わたしは、このいただき方が、結構、いえ、かなり、気に入っているのです。
できたてのおかずと、あたたかいごはん、熱々のお味噌汁を一緒にテーブルに出すには、タイミングが肝心です。わたしが、保温機能のない炊飯方法にしているというのもありますが、タイミングを合わせようとすると頭のなかも、準備も忙しなくなります。
ある日、別々にいただいたところ、慌ただしさが消えました。「これ、いい」。それから、夜ごはんは、そんな風にいただいています。
日本料理は、一品一品、順番にでてきます。冷たいものは冷たいうちに、熱いものは熱いうちに箸をつける。そして最後にごはんとお椀。献立は全くちがいますが、流れは近いいただき方です。
わたしの場合、おかずは一品だけ(時々、変わります)。その時、ノンアルコールビールも。それで、お腹もこころも80%満足します。そのあと、炊きあがり時間を遅めにしたごはんができ、下準備しておいたお味噌汁をあたため、再びテーブルに着きます。
もちろん、おかずとごはんを同時にいただきたい時は、一緒にテーブルに出しますが、最近はほとんど別々にしています。何より、慌てず作れ、ゆっくり食せる。それがいいのです。
食べすぎもなくなりました。ごはんをいただく時は、80%の満足度のあと。それが、食べすぎない理由です。
こんな風にできるのは、食が細くなったというのが大きいからかもしれません。何人かでテーブルを囲む方には不向きですし、食べ盛り、ハードな仕事の方も、むずかしいですね。わたしはひとり暮らしなので、そういう点は自由です。
ひとりの食事こそ、自分の「好き」をしっかり楽しむ
ひとりで食事をすることを「孤食」という言葉で表す時があります。なんとなく「さみしいでしょう?」と勝手に言われている言葉のような気がしてなりません。
わたしは、食べたいものを自分のタイミングと体調に合わせいただけるので、ひとりの食事がすきなのです。数人で食事をする時は、それはそれでたのしいですし、ひとりの食事もたのしい。時には、映画を見ながらさっと作ったサンドイッチを頬張る。買ってきた折り詰めをいただく。それもすきです。
そのいただき方、つくり方にしてから、キッチンに立つのがたのしくなりました。一品だけつくればいいという気軽さと、ごはんはあとからのゆったりさ。
歳を重ねると、多くのことが一度にできなくなってきます。でも、この方法なら、これからも大丈夫。
60歳までのメモ
1 食事の方法、回数等、年齢に合うように変えてみる
2 食が細くなるなかで食べた方がいいものなど調べてみる
3 食事前にテーブルを整える
4 片づけも負担がないようにしていく
5 たのしく、おいしくいただける工夫を忘れない
広瀬裕子(ひろせ・ゆうこ)
エッセイスト、設計事務所岡昇平共同代表、other: 代表、空間デザイン・ディレクター。東京、葉山、鎌倉、香川を経て、2023年から再び東京在住。現在は設計事務所の共同代表としてホテルや店舗、レストランなどの空間設計のディレクションにも携わる。近著に『50歳からはじまる、新しい暮らし』『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)他多数。インスタグラム:@yukohirose19