(『天然生活』2020年8月号掲載)
環境がセンスを鍛えます
何かひとつ。手を動かしてつくり変える。たとえばペンキ用大中小4本199円のはけ。毛が少なすぎてダメでした。
でも大はサッシ掃除、中はのりはけ、小2本は毛を斜めにカットして1本は台所でマッシュルームブラシ、もう1本はシューブラシに最適でした。
何かに使えると思えるものは、もとのデザインに魅力があります。だから手にとって考える。
ひとつひとつ、じっくりものを選んで暮らしをつくってきました。
センスは持って生まれるものではなく環境が鍛えてくれるものだと実感しています。
ひと手間加えたシューブラシ
玄関前のテーブルの中に、シューケア用品を収納しています。靴の汚れ落とし用のブラシはイケアの手頃なペイント用を。
買い物当初に考えていた用途に使えず、手放そうかと悩みましたがデザインが好きなのでこの使い道を思いつきました。
細かな汚れが落としやすいように毛を斜めにカットしています。
割れた陶磁器で箸置きづくり
ふたつに割れた茶碗や小皿を紙に包んで袋に入れ、1mぐらいの高さから床へ落としてみたら箸置きにちょうどいい大きさに。
食卓に置いてみて絵柄が気に入ったもの、座りのよいものだけを残しました。
水を入れたボウルに浸して、ふたつをこすり合わせてザラザラを取り除き、スポンジ研磨剤で仕上げます。
ジンの空きびんを蚊取り線香立てに
夏場の温室や庭での作業に欠かせない蚊取り線香。
どっしりと重く、置き忘れないくらい目立つ蚊取り線香立てが欲しくて、ドライジンの空きびんを活用。
蚊取り線香をクリップで挟み、口部分に置きます。
そのままでは風で倒れるのでクリップの先に重りを吊るし、びんのなかに落としてバランスをとっています。
安心して灯せるガラスのふた
地震国の日本では高さのある燭台でキャンドルを楽しむのは難しい。
でも、ガラスふたの上なら倒れる心配もなく灯せます。
光を通すガラスなら食卓に影を落とさないので灯りがやわらかく、目が疲れません。
ガラスによっては割れることがあるので底が見えてきたらキャンドルを交換するようにしています。
<撮影・エッセイ/石黒智子 文/嶌 陽子>
石黒智子(いしぐろ・ともこ)
エッセイスト。書籍や雑誌などを通じて暮らしの工夫や道具の選び方を提案。著書に『60代 シンプル・シックな暮らし方』(SBクリエイティブ)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです