生活感ある空間にこそ、花を飾ってほしい
「素敵な花器がないから」、「花を飾れるほど、わが家は片付いていなくて」……
バタバタしがちな日常に、花を取り入れるのはむずかしいこと。
そう思い込んではいませんか?
平井かずみさんはむしろ、「生活感ある空間にこそ、花を飾ってほしい」と話します。
「花の力は、想像よりずっと大きいもの。ほかの言葉で表現するなら……“周りに結界が張られる”というのでしょうか。花の周りに凛とした空気が漂うのです」
それをひと目で納得させるのが、まさにこの表紙の一枚。
棚の上にあれこれお気に入りを置くと雑然とした印象になりかねませんが、花をひとつ飾ることで自然と主役が決まり、見事にバランスが整うのです。
意外な場所にこそ花を
今回は、ちょっと意外な場所にも花しつらいを提案。
たとえば、うっかり花の水換えを忘れてしまう人には、発想の転換で水場に花を。
さらに、食卓に大ぶりな花を飾る際のささやかな、それでいていっそう空間が和やかになるアイデアなどなど……。
そして、花とは無縁に思える踊り場や階段にも注目。
ふだんは目が向かない場所でもあるので、掃除もゆき届かなくなりがち。
結果、ほこりがたまり、空気もよどんでしまうことも多いのではないでしょうか。
「そこでぜひ借りていただきたいのが花の力。さりげなく一輪を生けるだけで、踊り場の一角が少し特別な場所になり、清々しい空気が流れ出します」
また、この場所は下から見上げたときの目線を意識すれば、家の中のギャラリーの役目も担ってくれるそう。
実は、階段に飾られたフレーム入りの写真は、この企画の撮影を担当してくださったフォトグラファー・有賀傑さんの作品。
「先日開催された有賀さんの写真展にうかがって、どうしても目が離せなくなって購入させていただいたんです」と平井さん。
なんと撮影当日、有賀さん自ら作品を納品してくださいました。
「やっぱり、この写真はとても素敵」ということで、急遽、花と一緒にスタイリング。
撮影する有賀さんは、少々照れくさそうでしたが……
そしてそして、現場をずっと和ませてくれたのが、平井さんの愛犬・イルちゃん。
愛犬家ぞろいのスタッフから受ける抱っこやほおずりの嵐に耐え、一緒に撮影を乗り切りました。
本誌では、ここでご紹介しきれなかった花しつらいも掲載しています。
平井さんのアイデアが、暮らしに花を取り入れる一歩となれば、これほどうれしいことはありません。
ぜひ、ご覧いただけましたら幸いです。
※ 平井かずみさんの記事「“きれいが生まれる”花しつらい」は、『天然生活』2024年11月号、P.4~10に掲載されています。
<スタイリング/平井かずみ 撮影/有賀 傑 取材・文/福山雅美>
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平井かずみ(ひらい・かずみ)
フラワースタイリスト。2022年から新たな出会いの場としてオープンした、東京・恵比寿のアトリエ「皓 SIROI」を拠点に活動。花の教室「皓 花会」を開催するほか、全国でワークショップを開催。草花がもっと身近に感じられるような「日常花」を提案する。
https://www.hiraikazumi.com/
有賀 傑(ありが・すぐる)
フォトグラファー。スタジオ勤務後、2001年独立。静物、人物、料理、空間など、 衣食住に関わる写真を主に撮影。雑誌、書籍、web、広告等の媒体で幅広く活躍する。2024年9月5日から9月30日まで、静岡・伊豆にあるギャラリー「Cafe&Gallery Izu Flow」で写真展を開催中。詳細はインスタグラムを。
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