「なぜ?」が分かれば、料理の腕は格段にアップ!
汁なし担々麺専門店『タンタンタイガー』の創業者で、「超料理マニアな料理人」の東山広樹さんが大切にしているのが、料理に関する“なぜ”。
「“なぜ”おいしくなるのか?」「“なぜ”この工程が必要なのか?」、科学的な考察と分析に基づいて調理をすれば、スーパーにあるいつもの食材で最高においしい家庭料理をつくることができます。
本記事では、東山さんが考案した調理科学に基づくレシピより、トマトの水煮缶を使ってつくる究極においしいトマトソースパスタのつくり方をご紹介します。
175度で加熱しクエン酸を分解すれば、うま味たっぷりのトマトソースに
「“トマトソース特有の酸味が苦手”というコメントをよく目にしますが、僕もそのひとりです」という、東山さん。
酸味の正体は、トマト水煮缶の保存性を高めるために添加されているクエン酸。
クエン酸は加熱によって分解されますが、その分解温度は175度。
水の沸点は100度ですから、175度に到達させるためには、「①強火で調理する」「②水分をしっかり飛ばす」「③油をたっぷり使用する」という、3つのコツが必要です。
油は温度が100度以上になる性質があるので、「トマトソースを油で揚げ焼きにする」ようなイメージで、クエン酸をしっかり飛ばせば、うま味たっぷりのトマトソースが出来上がります。
「アルティメットトマトソースパスタ」のつくり方
材料
【A:アルティメットトマトソース】(つくりやすい分量)
● ホールトマト缶 | 1缶 |
● にんにく(みじん切り) | 2片分 |
● 塩 | 小さじ1 |
● オリーブオイル | 60g |
【B:トマトソースパスタ】(1人分)
● パスタ | 100g |
● にんにく(みじん切り) | 1片分 |
● アルティメットトマトソース | 大さじ4 |
● 赤唐辛子(ホール) | 1本 |
● オリーブオイル | 大さじ1 |
つくり方
1 Aでトマトソースをつくる。ボウルにホールトマトを入れ、手でつぶす。
2 フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火にかけ、にんにくがきつね色になったらホールトマトと塩を加える。
3 フライパンにふたをし、強火に5分かける。(時々フライパンをゆすりながら、こがさないように)
4 火力を弱め、好みの濃度になるまでかき混ぜながら煮詰めたらトマトソースの完成。
5 Bでトマトソースパスタをつくる。1%の塩分濃度の湯(分量外)でパスタを表示どおりにゆでる。
6 フライパンにオリーブオイル、種を取った赤唐辛子を入れて弱火にかけ、赤唐辛子が色づいたら、にんにくを加える。
7 シュワシュワ泡が出たら、トマトソースを加える。少し油になじませたら、パスタのゆで汁大さじ4(分量外)を加えて伸ばす。
8 ゆで上がったパスタを7に加え、ソースとからめたら完成。水分が足りなかったらパスタのゆで汁を、塩気が足りなかったら味を見ながら塩を足す。
〈撮影/片桐 圭(Lingua franca)〉
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※ 本記事は『スーパーの食材で究極の家庭料理』(大和書房)からの抜粋です。
東山広樹(ひがしやま・ひろき)
超料理マニアな料理人
(株)マジでうまい代表取締役
汁なし担々麺専門店『タンタンタイガー』の創業者。現在は、会員制レストランを主宰、飲食業のレシピ開発などを行っている。年間400 軒超の飲食店を食べ歩きし、料理のおいしさについてとことん追求。日本一マニアックな料理ブログ『Cooking Maniac』も運営している。
X(@h_gashiyama)のフォロワー数は5.5万人超(2024年7月現在)。
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