• 時間がないぶん、知恵と工夫を駆使しながら家の中をきれいに。無理なく続けられる掃除術を4人の方に教えてもらいました。今回は、「アーキペラゴ」店主・上林絵里奈さんに聞く、日々の掃除との向き合い方です。
    (『天然生活』2023年3月号掲載)

    “ながら”掃除で気負わず、負担なく

    2015年に大阪から兵庫の丹波篠山へ家族で移住、戦後まもなくに建てられた木造古民家をリノベーションし、暮らし始めて8年目。

    3カ月前に第3子となる澄生(とき)くんを出産し、現在は体調をみながら家事と育児をこなしつつ、赤ちゃん連れで店にも顔を出す日々という上林絵里奈さん。

    「ふだんは食事の支度をしながらや入浴しながらの、気負わない掃除が基本。ものの置き場所を決めて、必ずしまうことも心がけています。移住後は、友人やおつきあいのある作家さんがわが家に泊まる機会も増え、1時間もあれば片づけられるようになりました」

    画像: ダイニングのシェーカーテーブル上は何も置かないルール。散らかりがちな郵便物や子どものお菓子は、食器棚上の竹かごを一時置き場に

    ダイニングのシェーカーテーブル上は何も置かないルール。散らかりがちな郵便物や子どものお菓子は、食器棚上の竹かごを一時置き場に

    のどかな里山が一望できる抜け感が気に入り、ここに住むことを決めたというリビングの大きな窓は、気がついたときに水とスクレーパー、新聞紙などできれいに。 普段使いのバッグは、窓際にある物入れへ。

    ちょっとしたことながら、帰宅後に出しっぱなしにしないことで、空間がすっきりして掃除がしやすくなります。

    画像: 洗剤を使うとふき跡が残りがちなため、スクレーパーと水で磨く

    洗剤を使うとふき跡が残りがちなため、スクレーパーと水で磨く

    お気に入りの掃除道具で気分を上げて

    また、掃除をなるべくストレスに感じないための環境づくりも。

    「保護猫のモンクの抜け毛が気になり、新たに『パナソニック』の掃除機を買いました。以前のものより吸引力が優れているのがうれしくて、頻繁に掃除するように。食器棚奥の手に取りやすい場所にほうきと一緒にしまっています」

    セレクトショップオーナーという仕事柄、さまざまなものの使い心地を確かめる機会も多い上林さん。最近は「アーキペラゴ」の隣にオープンした「素滋食堂」で日用品も扱い始め、縁あって出合った「ミスターQ」という環境に配慮した洗剤を自宅でも愛用中とか。

    「シンク内に吸盤でつけるタイプなので、キッチンがすっきりして掃除しやすくなりました。片手でお皿を持ちながら、スポンジでなでるように洗剤をつけられます」

    画像: 吸盤でシンク内につける「ミスターQ」を愛用

    吸盤でシンク内につける「ミスターQ」を愛用

    もともと、掃除好きではなかったという上林さんですが、大好きだというかごや、機能的で素朴な風合いのほうきなど、日本の美しい道具が助け役に。

    気に入った道具を選ぶことが、住まいを愛し、家族との暮らしを愛することにもつながっていくようです。

    画像: 長野でつくられた、そばをこねる鉢をモンクのベッドに。実家から拝借してきたものだそう。冬場は、ストーブの前が定位置

    長野でつくられた、そばをこねる鉢をモンクのベッドに。実家から拝借してきたものだそう。冬場は、ストーブの前が定位置

    上林さんの「掃除の習慣」

    毎日の掃除はシンプルに。気づいたときにすぐできる道具や環境を整えておく。

    〈毎日やること〉
    ・リビングの掃除機かけと床ふき
    ・キッチン、トイレ、洗面所の掃除

    〈気づいたらすぐやること〉
    ・玄関の土間掃除
    ・天井の蜘蛛の巣取りや、ほこり掃除

    〈ほぼ毎週やること〉
    ・窓の掃除
    ・キッチン、お風呂、洗面所などの排水溝掃除
    ・ガスコンロの掃除

    〈月1でやること〉
    ・畳の掃除
    ・冷蔵庫の掃除
    ・風呂場の細かい汚れの掃除

    画像: 小上がりと隣接した和室は、ふだんは客間として使っているそう。月1回程度、「米澤ほうき工房」の松本箒で畳を掃き清める

    小上がりと隣接した和室は、ふだんは客間として使っているそう。月1回程度、「米澤ほうき工房」の松本箒で畳を掃き清める



    〈撮影/竹田俊吾 取材・文/野崎 泉 構成/鈴木理恵〉

    上林絵里奈(かんばやし・えりな)
    大阪のセレクトショップ勤務などを経て、2015年に日本の原風景をいまなお残す兵庫の丹波篠山に移住。2016年に夫の小菅庸喜さんと、暮らしの道具や衣類などを扱う「アーキペラゴ」をオープン。2022年3月には、隣接地に地産の豊かな食材を使った食事と喫茶を提供する「素滋食堂」もオープンした。http://archipelago.me/

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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