(『天然生活』2023年7月号掲載)
“ちょこちょこ点検”で収納をアップデート
「私はとても面倒くさがりなので、どうしたら楽に整理整頓できるか、いつも考えています」
そう語るのは、整理収納コンサルタントの本多さおりさんです。
夫と子ども2人の家族4人暮らし。ものが多いと、家族のスペースを圧迫して伸び伸びできないし、管理できる量をオーバーするため、定期的な点検は欠かせません。
「使っているものしか持っていないと思っていても、意外と、最近使っていないものが紛れ込んでいるものです。とくに子ども服はその筆頭で、収納場所からあふれてきたり、片づけしづらいと感じたりしたら、中身を見直します」
ものを減らさなくちゃと考えると腰が重くなるので、あくまでも点検の意識で。
すぐに捨てなくても、いったん使っているものと使わないものを分けるだけで、収納場所はすっきりします。使わないものは視界に入らない場所に置き、不要かどうかの見極めをするそう。
「ものを簡単には捨てられない人は多いと思いますし、私も迷うことがあります。いまも、使っていないお皿をよけていたのですが、SNSで素敵に使っている写真を見て、やっぱり食器棚に戻そうかな、と迷っているところなんですよ。手放すと決めるまで、時間をかけてもいいと思います」
収納場所は、使う場所から“5歩以内”でストレスを軽減
がんばって片づけたのに、いつのまにか散らかってしまうのを避けるコツは、収納場所にありました。
とにかく使う場所にしまうことが肝心で、ついちょい置きしてしまう場所があったら、そこがそのものの定位置と判断し、収納場所を設けます。
出し入れのアクションは極限まで少なくし、5歩以上歩くような場所にしまうことはないと言います。
「家族のものに対しても、たとえ見栄えがよくなくても、彼らが置きやすい場所に収納場所を決めるようにしています。決めた場所に置いてくれさえすれば、それは置きっぱなしとは違うので、ストレスが減るんですよ。できないことを責めるより、前向きに諦めるというか受け入れるようにして、家庭内の平和を保っています」
収納用品は柄がないステンレスやモノトーンなど、情報量が少ないものを選ぶのも本多さんのルール。子どもの成長や、暮らしの変化に合わせて配置換えなども頻繁に行います。
一度片づけたらそれで終わりということはなく、アップデートが必要なのだとか。
「片づけが得意な人は、すぐに正解がわかるんでしょ、と思われがちですが、違うんですよ。答えはひとつじゃないですし、私も試行錯誤しています。収納にゴールはなく、ゴールを目指す必要もありませんから、片づけづらさを感じたときに、ちょこちょこ改善するようにしています。皆さんも、丸ごとやろうとすると億劫なので、目下のストレスを解消すべく、まずは1カ所から手をつけてみると、いいと思いますよ」
本多さんの「片づけの工夫」
涼しげな布で衣類を目隠し
知人からたくさん譲り受けた服の芯地をボックスにかけて。「涼しげな素材で透けすぎないので、適度に中身を隠してくれて便利。カーテンにも使っています」
〈撮影/山川修一 取材・文/長谷川未緒〉
本多さおり(ほんだ・さおり)
整理収納コンサルタント。楽に家事ができ、心地よく暮らせる家にする整理収納術に定評がある。新刊に『あるものを活かして愛着のある部屋に育てる』(大和書房)。夫と小学2年生、保育園年長の男児と家族4人暮らし。2019年に中古マンションを購入し、家族みんなが暮らしやすい家を目指しフルリノベーションした。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです