(『天然生活』2021年10月号掲載)
使いやすくものをしまって、心にゆとりのある暮らし
センスのよい暮らしぶりにファンの多い田島礼子さん。ご自宅に伺うと、家じゅう至るところに、若いころから集めている絵画やオブジェが飾られ、ギャラリーのよう。
子どもふたりが独立し、夫婦ふたりになった現在、収納家具には空きスペースができてもよさそうですが、いまでもぎゅうぎゅう。
2年前には、木工作家の吉川和人さんにオーダーし、新たにキャビネットを迎えました。
物持ちがよく、お皿1枚とっても、「これはタヒチのゴーギャン美術館で買ったの。ゴーギャンの絵は1枚も展示されていない美術館なんですけどね」と思い出話が光ります。ものを減らすことはあきらめていて、終活もしないと思う、とのこと。
「その代わり使いやすいように、よく使うものを手前に、あまり使わないものは奥に片づける入れ替えは、頻繁にしています」
長く生きていると、ものも増える、とおおらかに笑う田島さん。
人間でいうと90歳になるしのぶさんを筆頭に、猫4匹も悠々と暮らすこの家では、思い出のつまったものたちがおさまるべきところにおさまり、落ち着く空間をつくり出していました。
キャビネット
2年ほど前に、木工作家の吉川和人さんにオーダーしたキャビネット。あらかじめ決めておいた置き場所に合わせて横幅を設定。引き出しは使い勝手を考え、よく使うものを入れる上は浅く、下は深くなっています。
「材質はチェリーです。迎えたばかりのころはもっと白かったけれど、使っているうちに飴色に変わってきました。経年変化するものは、やはりいいですね」
収納の工夫とお気に入り
一番上の引き出しは、リモコンや文房具など、よく使うのに行方不明になりがちなこまごましたものを収納。
開き戸の中はファックスが。「裏側の板にコードを通す穴を開けてもらいました」。オーダーならでは。
キャビネットの上には猫の置物やインゴ・マウラーのランプ、黒田泰蔵さん作の白い花器などを飾って。
<撮影/馬場わかな 取材・文/長谷川未緒>
田島礼子(たじま・れいこ)
主婦。おもてなし上手として知られ、おいしい料理とセンスのよい盛り付けにファンが多い。アートディレクターの夫と猫4匹と暮らす。猫との暮らしを記録しているインスタグラム@reiko_withcatsも人気。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです