• 寒さ厳しい北国ならではの、冬を迎える知恵や楽しみ。暮らし上手な暮らしの装飾家・ミスミノリコさんに、山形県鶴岡市での冬じたくを伺いました。地域の行事を楽しみながら、夫婦で営むカフェ&セレクトショップ「manoma」のディスプレイも冬の装いに替えていきます。
    (『天然生活』2021年12月号掲載)

    冬を楽しみながら、春を待つ

    夫と営むカフェ&セレクトショップ「manoma」でも、飾ってある写真やディスプレイを替えて冬の装いに。

    12月になると伝統行事「松の勧進」の季節がやってきます。市内を回る山伏の方から、お札をいただくのが冬の風物詩のひとつになりました。

    「東京では毎年お酉さまに行っていましたが、ここでは松の勧進がその代わりのような存在です。目の前で、思い切り吹いてもらうほら貝の音は大迫力。新しい年を迎える気持ちが、上がります」

    そしていざ冬が深まれば、自然にあらがわず家ごもりが当たり前。

    「これがまた、インドア派の私にはぴったりで、寒だらや温海(あつみ)かぶなど、おいしい冬の味覚を楽しみながら、みんなで『春を待ちわびる』。そう、『春を待つ』という気持ちを身に染みて理解できたことも、この地で得られた大きなギフトのひとつかもしれません」

    新しいお札を貼る

    画像: 「牛札」は、自宅と店舗のキッチンに貼っている。「毎年貼り重ねることで、時の経過も実感します」

    「牛札」は、自宅と店舗のキッチンに貼っている。「毎年貼り重ねることで、時の経過も実感します」

    庄内地方の冬の風物詩のひとつ「松の勧進」。

    「鶴岡では12月になると、ほら貝を吹き歩く装束姿の山伏を見かけます。初穂料を納めると2枚ひと組のお札をいただけますが、火防のお札も」

    逆さまなのは「牛は背中で火を消す」のいわれから。

    ストーブのメンテナンスを行う

    画像: 外側はぞうきんで水ぶき、芯は専用のクリーナーで削って。「芯の交換は、毎回動画を参考にしています」

    外側はぞうきんで水ぶき、芯は専用のクリーナーで削って。「芯の交換は、毎回動画を参考にしています」

    「小さな窓から見える炎を眺めていると、心が和みます」という、愛用の灯油ストーブ。ほこりを払ったり、ときおり芯を取り替えたり、長く使い続けたいからこそこまめなメンテナンスを欠かしません。

    「これをリビングに出すと、冬の訪れを実感します」

    店舗のディスプレイを冬の装いに

    画像: 繊細で美しい雪の結晶。昨年は天井から下げていましたが「今年は霧吹きで濡らし窓に貼ろうと計画中です」

    繊細で美しい雪の結晶。昨年は天井から下げていましたが「今年は霧吹きで濡らし窓に貼ろうと計画中です」

    季節の移ろいを表す、旧暦の二十四節気に合わせたメニューを出している「manoma」。店内のディスプレイも時季によって少しずつ替えています。

    「冬の楽しみのひとつが、和紙造形作家の森田千晶さんからいただいた雪の結晶の和紙をお店に飾ること」



    <撮影/ミスミノリコ 取材・文/玉木美企子>

    画像: 店舗のディスプレイを冬の装いに

    ミスミノリコ(みすみ・のりこ)
    ディスプレイデザイナー、暮らしの装飾家。2019年に山形県鶴岡市に移住し、パートナーである物書き料理家・マツーラユタカさんとともにカフェ&セレクトショップ「manoma」を営む。日々を楽しくする小さな手しごとの提案も好評。近著に『お気に入りの衣服を繕う ダーニングキット付き』(角川SSCムック)。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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