(『天然生活』2023年2月号掲載)
プラスチックを減らすことは、“日常を心地よくしてくれること”
プラなし生活」というユニットで、プラスチックを減らすさまざまなアイデアやグッズを提案する古賀陽子さん。
古賀さんがプラスチックを減らすことに関心を向けるようになったのは、海洋プラスチック問題について知ったのがきっかけでした。
「プラスチックごみが私たちの生活や健康、地球環境に深刻な影響を与えているのを知り、生活を見直したいと考えました」
家の中にあるプラスチックのアイテムをひとつずつ、それ以外のものに替えたり、使わなくてすむ方法を取り入れたり。
プラスチックを減らすというと、面倒で大変なことが増えるように感じるかもしれませんが、
「無理や我慢をしなくても、できることはたくさんあります。私にとって、プラスチックを減らすことは、日常を心地よくしてくれること。プラスチックの代わりに自然素材が増えるのは気持ちがいいし、見た目もすっきりします。暮らしがどんどんシンプルになっていくのを実感できますよ。プラスチックを減らすアイデアをあれこれ考えるのも、ワクワクします」
そんな古賀さんに、すぐまねできる小さなアイデアを紹介してもらいました。できることから少しずつ、プラスチックを減らした毎日を始めてみませんか?
プラスチックを減らすなら、まずは「ものを替える」
プラスチックを減らしたいと思ったら、手はじめにプラスチック以外のものに替えてみましょう。容器や包装を紙製のものに替えるというのも、すぐできるアクションです。
「外で使うものはプラスチックが劣化しやすいので、洗濯ハンガーやピンチをステンレスにしたり、外置きのごみ箱をブリキ製に替えるのもおすすめです」
「ものを替える」アイデア1
ラップをみつろうラップに
日々、キッチンで使用頻度の高いラップは、使い捨てない手づくりのみつろうラップに。
自分の好きな綿100%の布にみつろうビーズを散らし、クッキングシートをかぶせて高温のアイロンをかければ、繰り返し使えるお気に入りのみつろうラップの完成です。
「ものを替える」アイデア2
液体洗剤を固形石けんに
プラスチックボトル入りの台所用洗剤は、包装ごみが少ない石けんに変更。洗浄力もあって、油汚れもすっきりします。
ヘチマやセルローススポンジ、綿の布を使えば、泡立ちもしっかり。事前に油汚れを古布でふき取り、お湯で予洗いすれば、環境にもやさしい。
「ものを替える」アイデア3
スポンジはしゅろたわしに
ポリウレタンやナイロンの台所用スポンジ、メラミンスポンジは、マイクロプラスチックの原因に。
セルロースやヘチマ、しゅろやアブラヤシなど自然素材のスポンジやブラシ、綿の布を使えば、マイクロプラスチックを出さずに食器が洗えます。
「ものを替える」アイデア4
保存容器は繰り返し使えるものに
チャック付き保存袋、プラスチック製の保存容器は、耐用性が低くプラスチックごみになりやすいだけでなく、油汚れが落ちにくいというデメリットも。
ガラスやほうろう、陶器、ステンレスの保存容器は汚れ落ちもよく、とても丈夫で、見た目もおしゃれです。
「ものを替える」アイデア5
ティーバッグ・だしパックは素材から
ティーバッグのほとんどはポリエチレンやPET樹脂製。合成繊維のティーバッグ1袋から約116億個のマイクロプラスチックがお湯に放出されたという衝撃のデータもあるので(※)、ポットで茶葉から淹れるのが安心。だしも昆布や削り節、粉末タイプで。
※ 『海洋プラスチック汚染「プラなし」博士、ごみを語る』(中嶋亮太・岩波科学ライブラリー)
〈撮影/林紘輝 取材・文/工藤千秋〉
古賀陽子(こが・ようこ)
プラスチックを使わない生活を実践中の主婦兼フリーのライター&デザイナー。海洋プラスチック汚染の深刻な実態を知り、中嶋亮太氏とのユニット「プラなし生活」を結成。WEBやSNSでプラスチックフリーなアイテムやアイデアを広める活動を行う。中嶋氏との共著に『暮らしの図鑑 エコな毎日』(翔泳社)がある。
https://lessplasticlife.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです