• プラスチックごみが私たちの健康や生活、そして未来にどんな影響を与えているかを知ることはとても大切です。「プラなし生活」というユニットで、プラスチックを減らすためのさまざまな提案をする古賀陽子さんに、プラスチック問題の現状と、日々つづけられる行動についてお聞きしました。
    (『天然生活』2023年2月号掲載)

    “プラスチックを減らす”と決めてみる

    プラスチックごみ問題の現状は?

    プラスチックは自然分解されることがほとんどなく、小さく砕けたマイクロプラスチックが「消えないごみ」として、生命の源である海に蓄積し、国際的な環境問題となっています。

    年々生産量が増加しているプラスチックですが、その4割以上が容器包装。つまり「使い捨てプラスチック」が大量に生産され、大量に捨てられるという現実が、プラスチックごみ問題を深刻化させています。

    「ごみの分別が進んでいる日本では、プラスチックをリサイクルしているから」という声もありますが、日本ではプラスチックごみの大部分は燃やして燃料や発電に使う熱回収が主流です。この方法は、CO2排出の問題もあり、国際的にはリサイクルとは認められていません。

    「いくら分別しても、ごみ回収場から鳥が運んだり、風に飛ばされたりして、海に流れ着くプラスチックごみも多くあります。“分別して回収しているから大丈夫”と考えるのではなく、“プラスチック製品をできるだけ選ばない、使わないこと”から、暮らしを変えていくことがとても大切です」

    データで見るプラごみの現状

    ●世界で年間に生産されるプラスチック総量(※)は東京スカイツリー約12,000個分(2017年、Geyer2020)

    ●世界で廃棄されたプラスチックごみの46%が容器包装のごみ(2017年、Geyer2020)

    ●国民ひとり当たりが消費する容器包装プラスチック量で日本は第2位(UNEP 2018)

    ●実際に国内で処理されているプラスチックごみのリサイクル率は8%(2020年、プラスチック循環利用協会2021)

    ※ プラスチック繊維と添加物を含む

    できるところから続けられることを

    もちろん、生活のなかにたくさん入り込んでいるプラスチックをすべてなくすのは非現実的ですよね。

    いまあるプラスチック製品をすぐに捨てるのも、ごみを増やすことに。ですが、プラスチックごみの大半を占める「使い捨てプラスチック」をできるだけ使わないと決めるだけなら、ハードルも低くなります。

    それには小さなアイデアから、取り入れられそうなことを少しずつ始めるので十分。

    「やっていくうちに、だんだんと『ほかにもプラスチックを減らす方法はないかな?』と考えるのが、楽しくなってきますよ」

    画像: 外で食事をするときは、スプーンや箸、ストローなどを持ち歩くのも行動のひとつ

    外で食事をするときは、スプーンや箸、ストローなどを持ち歩くのも行動のひとつ

    プラスチックを使った製品は便利で安価なため、それ以外のものを選ぼうとすると値段が高い、使い勝手が悪いと感じることもあるかもしれません。そこで、続けられなくなってしまっては、本末転倒です。

    画像: エコバッグはデザインや機能などが気に入ったものを。「丈夫で長く使いつづけられるなら、プラスチック製でもいいと思います」

    エコバッグはデザインや機能などが気に入ったものを。「丈夫で長く使いつづけられるなら、プラスチック製でもいいと思います」

    「大切なのは、自分ができる範囲でやりつづけられること。ぜひ、できることを見つけて、皆さんにも、日常からプラスチックを減らした気持ちよい毎日を過ごしてほしいですね」

    画像: 自分好みの柄を選んで、みつろうラップを手づくりするのも楽しいひとときに

    自分好みの柄を選んで、みつろうラップを手づくりするのも楽しいひとときに

    買い物でできる「プラなし」

    ●野菜はバラ売りを買う

    ●備えつけのポリ袋は使わない

    ●調味料は瓶詰め、紙包装を選ぶ

    ●レジでのポリ袋包装は「いりません!」と最初にいう



    〈撮影/林紘輝 取材・文/工藤千秋〉

    古賀陽子(こが・ようこ)
    プラスチックを使わない生活を実践中の主婦兼フリーのライター&デザイナー。海洋プラスチック汚染の深刻な実態を知り、中嶋亮太氏とのユニット「プラなし生活」を結成。WEBやSNSでプラスチックフリーなアイテムやアイデアを広める活動を行う。中嶋氏との共著に『暮らしの図鑑 エコな毎日』(翔泳社)がある。
    https://lessplasticlife.com/

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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