(『天然生活』2022年12月号掲載)
大好きなおしゃれが人生を楽しくする
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
子どものころから「服が大好き」という、森脇ひろみさん。74歳になったいまも日々、娘の今日子さんが営む暮らしの道具や器のお店「MORIS」に立っています。すらりと長身で、髪はきりっと短く、マニッシュなスタイルがお似合いです。
「くだけた着こなしより、きちっとしたスタイルが好きなんです。白シャツとパンツは定番、ジャケットにベストを合わせることも多いです。やわらかいものが着たいときはワンピース。襟を立てて着るポロシャツも好きで、久しぶりに青色が着たいんです」
好きなものが変わらないから、長年愛用しているものばかり。ダブルのジャケットやストライプのコートはオーダーメイドの仕立て屋さんに好きな生地を渡し、好きな形に仕立ててもらったものです。
「お仕立てといっても特別なものでなく、上質な生地が手頃に手に入ったときにお願いするので、むしろリーズナブルなんです。形も大事だけれど、それ以上に生地が大事。生地によって印象が変わりますから、いい生地あってこそ」
丈や襟ぐりなどを体形に合わせて調整してもらえるのもいいところ。歩きやすいから足元はスニーカー。ほどよく力が抜けて、品よくスマート。いいものを知る、大人の着こなしです。
森脇さんの「いまの自分らしさ」1
カスタマイズを楽しむ
ダブルのジャケットは1940年代にデザインされた憧れのジャケットをお手本にして仕立ててもらったもの。
「行きつけの生地屋さんでグレンチェックの生地を見つけ、これならぴったりだと思ったんです」
英国のクリーニング店で見つけたボタンを組み合わせ。「トリコ コムデギャルソン」の白シャツと「ジュンヤワタナベ」の黒のパンツですっきりと。
作家のアクセサリーをポイントに
肌が弱く、仕事で器にも触れるので身に着けるのはブローチかネックレス。
「作家のShinoさんがつくるチェコビーズのチョーカーやブレスレットはつないで好きな長さに」
小さなブローチは「キラユリナ」。
見えない裏地にまでこだわって
仕立て屋さんに仕立ててもらったジャケットは、表地だけでなく裏地もお気に入りの生地で。
「男性の羽織って裏地まですごくおしゃれでかっこいいなと思うから、私も見えないところまでこだわりたいんです」
森脇さんの「いまの自分らしさ」2
コートが主役のスタイル
コートはゆったり着られるオーバーサイズ、けれどシルエットはすっきりしたものを。颯爽と着こなす白いコートは大好きな英国のブランド「エッグ」。
「デザインはもちろん、ハリのある生地も気に入っています」
中に合わせたボートネックのワンピースも「エッグ」。パンツはお仕立て。ウールのリバティストールを合わせればたちまち華やかな印象に。
一年を通してストールは必需品
着こなしに映えるリバティのストールは生地の耳をそのまま生かし、上下の裁ち端だけ縫ったもの。まねしたいアイデア。
「落ち着きのある色柄が好きで、軽やかな春夏用と暖かな秋冬用、どちらもそろえています」
好きだったコートを基にお仕立て
コートの襟を立てるのが好きという森脇さん。ストライプのコートは以前気に入って着ていたコートを基に仕立ててもらったそう。
もともとあったフードはなくし、襟に綿を入れてきりっと着こなす。
森脇さんの「いまの自分らしさ」3
色数をおさえてすっきり
ボーダーも森脇さんの着こなしの定番。黒のジャケットと白のパンツに合わせてシックな装いに。シンプルな着こなしだからこそ、小さなハートのブローチもおしゃれに映えます。ジャケットは「コム デ ギャルソン」。
「着なくなったからよかったら」とお客さまから譲り受けたそう。「コロナ禍で窓を開けていることが多くなったので、ジャケットは重宝します」
着回ししやすい定番を持つ
ボーダーに替えて、白シャツでも。どちらも「コム デ ギャルソン」。
「個性的で高価なイメージがありましたが、手頃でベーシックなものもあるとわかって50代から着るように」。グリーンのパンツでシックに。
軽くて美しいレザーバッグ
「メルクルディン」のバッグを愛用。シンプルなデザインでどんなコーデにもなじみます。
「上質なレザーを使い、金具をできる限り省くのがデザイナー・村田彩実さんのこだわり。だからとても軽いんです」
〈撮影/石川奈都子 取材・文/宮下亜紀 構成/鈴木理恵〉
森脇ひろみ(もりわき・ひろみ)
暮らしの道具や器を扱う、神戸・六甲「MORIS」勤務。38歳から六甲にて器の店「陶碗人(とわに)」を営み、54歳で店を閉じ渡英。帰国後は店舗を持たず、さまざまな場で企画展を開催。2014年、次女・今日子さんが「MORIS」をオープン以来、店を手伝う。
https://moris4.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです