(『天然生活』2022年11月号掲載)
「婦人科」の悩み、気をつけるべきは“血のめぐり”
婦人科の悩みは、月経不順、月経痛、PMS(月経前に現れる体や心の不調)、子宮内膜症や子宮筋腫、不妊、産前産後のケア、更年期など幅広く、多くの相談が。
女性特有のトラブルを「血の道症」と呼び、漢方でも重要な位置づけとなっています。
気をつけるポイントは、血液が十分足りているか(血虚-けっきょ)、血液のめぐりが滞ってはいないか(瘀血-おけつ)などやはり「血」のめぐり。
とくに子宮や卵巣系は、血で満たされていないと弱ってしまいます。
血を増やしめぐらせるためには血を貯蔵する「肝-かん」の働きを活発化させ、血をつくり出す胃腸の働きを改善すること。男女ともに生殖能力には腎が関わってきます。
節目節目で訪れる不調を防ぎましょう
「婦人科」の処方
処方①
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
血を補うとともに、気と血のめぐりをよくする働きが。更年期症候群や生理不順などによく処方される。「産後の漢方薬」ともいわれ婦人科系で活躍。
処方②
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血を補い、水分代謝をよくする働きが期待できる。冷え性、生理不順、更年期症候群、不妊など、婦人科系のトラブルに強い。
処方③
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
滞った血をめぐらせる働きが。配合の茯苓(ぶくりょう)はキノコの菌核を乾燥させたもので、体内に滞った過剰な水分を取り除き、胃腸の働きを助けることも。
こんな症状には
冷えやすい
女性ホルモンの不調から、冷えが起こることも。血と気をめぐらせることが大事。
⇒処方:①/②/③
貧血ぎみ
鉄不足でヘモグロビンの生成が滞り、引き起こされる。血を補う漢方薬を。
⇒処方:①/②
むくみやすい
月経のタイミングで血のめぐりが悪くなり、下半身、とくに足が張ることが。
⇒処方:②/③
更年期(ホットフラッシュ)
閉経の前後10年間。この時期はそれまでのバランスが乱れ、体に熱がこもりやすくなる。
⇒処方:③
更年期(疲れやダルさ)
女性ホルモンの急激な変化で自律神経が不安定に。慢性的な疲労感を覚える人も。
⇒処方:①
〈撮影/近藤沙菜 イラスト/須山奈津希 構成・文/鈴木麻子〉
杉本薬局(すぎもとやっきょく)
1950年の創業以来、一人ひとりの体質に合った漢方薬や自然薬を提案。三代目の杉本格朗さんと弟の哲朗さんらと家族で経営。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです