• 健康な心身を保つためには、不調の原因に向き合い根本を理解することが大切。自然由来の生薬を組み合わせて処方される「漢方薬」は、やさしくいたわり、じっくり治すケアにもってこいです。漢方薬局「杉本薬局」の三代目・杉本格朗さんに、秋から冬にかけての季節に知っておきたい、月経不順やPMSなど「婦人科」系の悩みにおすすめの養生と漢方薬を教えていただきました。
    (『天然生活』2022年11月号掲載)

    「婦人科」の悩み、気をつけるべきは“血のめぐり”

    婦人科の悩みは、月経不順、月経痛、PMS(月経前に現れる体や心の不調)、子宮内膜症や子宮筋腫、不妊、産前産後のケア、更年期など幅広く、多くの相談が。

    女性特有のトラブルを「血の道症」と呼び、漢方でも重要な位置づけとなっています。

    気をつけるポイントは、血液が十分足りているか(血虚-けっきょ)、血液のめぐりが滞ってはいないか(瘀血-おけつ)などやはり「血」のめぐり。

    とくに子宮や卵巣系は、血で満たされていないと弱ってしまいます。

    血を増やしめぐらせるためには血を貯蔵する「肝-かん」の働きを活発化させ、血をつくり出す胃腸の働きを改善すること。男女ともに生殖能力には腎が関わってきます。

    画像: 漢方家に聞く“秋から冬の養生”「婦人科」の悩みにおすすめの漢方/杉本薬局の漢方相談室

    節目節目で訪れる不調を防ぎましょう

    画像: 神奈川・大船で70年以上続く漢方薬局「杉本薬局」の三代目・杉本格朗さん。料理家の野村友里さんとの縁で、グロサリーショップ「イートリップ ソイル」に漢方相談所も構えます

    神奈川・大船で70年以上続く漢方薬局「杉本薬局」の三代目・杉本格朗さん。料理家の野村友里さんとの縁で、グロサリーショップ「イートリップ ソイル」に漢方相談所も構えます

    画像: 2021年から原宿のグロサリーショップ「イートリップ ソイル」の一角にて、「杉本漢方堂Soil」をスタート。木・日曜(不定期)に杉本さんが在店し、相談を受けつける

    2021年から原宿のグロサリーショップ「イートリップ ソイル」の一角にて、「杉本漢方堂Soil」をスタート。木・日曜(不定期)に杉本さんが在店し、相談を受けつける

    画像: 薬膳ブレンド「薬膳十一包」や「和漢のチャイ」などイートリップとのコラボレーション商品も

    薬膳ブレンド「薬膳十一包」や「和漢のチャイ」などイートリップとのコラボレーション商品も

    「婦人科」の処方

    処方①
    芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)

    血を補うとともに、気と血のめぐりをよくする働きが。更年期症候群や生理不順などによく処方される。「産後の漢方薬」ともいわれ婦人科系で活躍。

    画像: 上から時計回りに:牡丹皮(ぼたんぴ)、当帰(とうき)、陳皮(ちんぴ)

    上から時計回りに:牡丹皮(ぼたんぴ)、当帰(とうき)、陳皮(ちんぴ)

    処方②
    当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

    血を補い、水分代謝をよくする働きが期待できる。冷え性、生理不順、更年期症候群、不妊など、婦人科系のトラブルに強い。

    画像: 上から時計回りに:芍薬(しゃくやく)、当帰(とうき)、茯苓(ぶくりょう)

    上から時計回りに:芍薬(しゃくやく)、当帰(とうき)、茯苓(ぶくりょう)

    処方③
    桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

    滞った血をめぐらせる働きが。配合の茯苓(ぶくりょう)はキノコの菌核を乾燥させたもので、体内に滞った過剰な水分を取り除き、胃腸の働きを助けることも。

    画像: 上から時計回りに:牡丹皮(ぼたんぴ)、茯苓(ぶくりょう)、桂皮(けいひ)

    上から時計回りに:牡丹皮(ぼたんぴ)、茯苓(ぶくりょう)、桂皮(けいひ)

    こんな症状には

    冷えやすい

    女性ホルモンの不調から、冷えが起こることも。血と気をめぐらせることが大事。
    ⇒処方:①/②/③

    貧血ぎみ

    鉄不足でヘモグロビンの生成が滞り、引き起こされる。血を補う漢方薬を。
    ⇒処方:①/②

    むくみやすい

    月経のタイミングで血のめぐりが悪くなり、下半身、とくに足が張ることが。
    ⇒処方:②/③

    更年期(ホットフラッシュ)

    閉経の前後10年間。この時期はそれまでのバランスが乱れ、体に熱がこもりやすくなる。
    ⇒処方:③

    更年期(疲れやダルさ)

    女性ホルモンの急激な変化で自律神経が不安定に。慢性的な疲労感を覚える人も。
    ⇒処方:①



    〈撮影/近藤沙菜 イラスト/須山奈津希 構成・文/鈴木麻子〉

    画像: 神奈川県鎌倉市大船1丁目25-37

    神奈川県鎌倉市大船1丁目25-37

    杉本薬局(すぎもとやっきょく)
    1950年の創業以来、一人ひとりの体質に合った漢方薬や自然薬を提案。三代目の杉本格朗さんと弟の哲朗さんらと家族で経営。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



    This article is a sponsored article by
    ''.