• 自分で育てた野菜や、庭の植物を使って保存食をつくったり、インテリアに少し手を加えたり。手づくりは暮らしを豊かにします。今回は、暮らしの装飾家・ミスミノリコさんの手づくりを楽しむ暮らしを紹介します。
    (『天然生活』2020年11月号掲載)

    土地の空気を取り入れ、居心地のよい空間に

    「ここが私の、第二のリビングです」

    ミスミさんが笑顔で迎えてくれたのは、2019年にオープンしたカフェ&セレクトショップ「manoma」。

    夜間営業の飲食店だったこの場所を引き継ぐにあたり、「土地の空気を取り入れながら、居心地のよい空間となるように」と夫・マツーラユタカさんとふたりで改装を行いました。

    画像: 薄い真鍮の板をカットしてつくったモビールは月がモチーフ。「店内にやさしく光を運んでくれます」

    薄い真鍮の板をカットしてつくったモビールは月がモチーフ。「店内にやさしく光を運んでくれます」

    ただし、プロの力も借りて「共同作業のように進めていった」とミスミさん。

    まず、場の印象を左右する壁の色は、人にも環境にも負荷の少ない塗料を扱う「COAT」の小林明子さんに依頼。

    風土をイメージしたオリジナルの色を調合してもらい、塗装はワークショップ形式で地元の方たちに助けていただきながら仕上げました。

    画像: カラープランナー小林明子さんが送ってくれた色サンプル。「わずかな違いでも印象が大きく変わるので慎重に選びました」

    カラープランナー小林明子さんが送ってくれた色サンプル。「わずかな違いでも印象が大きく変わるので慎重に選びました」

    画像: 洗面所を消臭効果の期待できるソイル塗料でペイント。色のイメージは出羽三山、その名も「misty mountain」

    洗面所を消臭効果の期待できるソイル塗料でペイント。色のイメージは出羽三山、その名も「misty mountain」

    商品を並べる棚やランプシェードは、知人の作家にアイデアを伝えオーダーメイド。

    「自分たちでやりすぎないことで、完成度と愛着がほどよいバランスになりました」

    画像: 東京の家では「転がっていた」というアンティークの車輪をランプシェードに。いまや店のシンボル的存在

    東京の家では「転がっていた」というアンティークの車輪をランプシェードに。いまや店のシンボル的存在

    もちろん、「暮らしの装飾家」らしい手づくりも随所に。

    この日かけ直していた真鍮のモビールは、ディスプレイデザインの仕事のなかで得た発想をみずからの店舗にも取り入れたものです。

    「山形は冬、曇天の日が多いから、店内で少しでも光を感じてほしくて。冬季限定のつもりでしたが、朝の光が美しいこの場所にぴったりなので、ずっと飾っています」

    そのほか、ワイン箱の縁に塗装を施した本箱や手編みの花びんカバー、ジンジャーシロップの液だれを防ぐ麻ひもなど、ミスミさんが暮らしのなかで生み出してきた手仕事の数々にmanomaではたくさん出合うことができます。

    画像: ブルーが目を引く花びんカバーは、Tシャツの端材を使った編み糸「ズパゲッティ」で編んだもの。「ザクザク編めてすぐに仕上がる達成感が気持ちいい。カバーを替えるだけで花びんの雰囲気も変わります」

    ブルーが目を引く花びんカバーは、Tシャツの端材を使った編み糸「ズパゲッティ」で編んだもの。「ザクザク編めてすぐに仕上がる達成感が気持ちいい。カバーを替えるだけで花びんの雰囲気も変わります」

    画像: アイデアをすぐかたちにできるよう、紙や糸、メジャーなどをまとめてひと箱に。「たまに中身を入れ替えるのも楽しみです」

    アイデアをすぐかたちにできるよう、紙や糸、メジャーなどをまとめてひと箱に。「たまに中身を入れ替えるのも楽しみです」

    「実は以前、東京から訪ねてくれた友人に『前の家みたいな雰囲気だね』と言われたのが、とてもうれしかったんです。日々を慈しむ思いはどこにいても同じ。私たちらしい場づくりを、ここでも重ねていけたらと思っています」



    〈撮影/五十嵐 丈 取材・文/玉木美企子〉

    ミスミノリコ(みすみ・のりこ)
    暮らしの装飾家/ディスプレイデザイナー。山形・鶴岡にてカフェ&セレクトショップ「manoma」をオープン。著書に『お気に入りの衣服を纏う』(KADOKAWA)。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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