たとえば、自分の食べるものをひとつでも育ててみる。楽しみながら土に触れ、台所に立ち、生きものを慈しむ。ささやかでも、そこから得られる喜びは計り知れません。今回は、農家の渡辺沙羅さんが実践している小さな自給自足を伺いました。
(『天然生活』2023年12月号掲載)
(『天然生活』2023年12月号掲載)
渡辺さんの自給自足
野菜
家族それぞれが食べたいものを、ほぼ早い者勝ちで植えていくという虫草農園。当然、食卓に並ぶのは家族の大好物ばかり。
「有機とか無農薬などの言葉にとらわれすぎず、昔ながらの方法で栽培しています。手作業を多くし、トラクターなどの機械は天ぷら廃油を活用するなど、化石燃料をできるだけ使わないことを心がけています」
渡辺さんの自給自足
堆肥
生ごみや薪ストーブの灰はコンポストに入れて堆肥として活用。
「落ち葉についた微生物の働きで分解が進みます。十分に熟成させたら、畑へ」
食べることと育てることが、リンクする毎日。
「畑に落ちた葉などは、そのままあえて放っておくと、自然な肥料になります。必要以上に手をかけないのも、私たちの“虫草農法”です」
渡辺さんの自給自足
米
「休耕田を2枚計1反、お借りしています。1反あれば家族が1年食べるお米とお味噌などをつくる分のお米も賄えます。ここは、水のおいしさで知られる南アルプスの麓。川の上流にあたるので、きれいな水で稲を育てることができるんです」
この日は、数日前に刈り取った稲をはさ掛けし、天日干ししておいたものを脱穀。
<撮影/近藤沙菜 取材・文/福山雅美>
渡辺沙羅(わたなべ・さら)
4歳のころ山梨県北杜市に移住。高校(自由の森学園)を卒業した2011年ごろ「自分で食べるものを自分でつくる」「自分で使うエネルギーは自分でつくる」を意識するように。 https://musikusa.stores.jp/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです