人間の不調時。猫たちはお布団に集結!
猫はマイペースな生き物と思われがち。
ですが、私はこれまで、幾度となく猫の「えっ、そんなに私たちを気にかけてくれているの?」とびっくりする場面と出会ってきました。
実は、数日前、少し体調を崩し、ベッドから起き上がれない状態だったのですが、いつもは昼間はリビングにいる猫たちが、なぜかその日にかぎってベッドの私の足元に勢ぞろい。
まるで体を温めるように包み込み、寒気のしていた私を癒してくれました。夫に訊くと、布団の中にも何匹か入っていたのだとか。
そのせいか分かりませんが、私は風邪薬を飲むこともなく、ぽかぽか暖かくなった体で、また元気を取り戻しました。
それにしても、猫たちは、はたして家族の体調不良を理解しているのでしょうか?
猫は「におい」で不調を知る生きもの
実は、猫は「におい」で一緒に住む人の体調不良を感じるそうなのです。
とはいえ気づいたとき、する行動は猫によって、それぞれ。
(1)近くに寄り添う
私の場合もそうでしたが、まるで親が子を心配するように、すぐ近くで見守る子は多いようです。
猫のゴロゴロセラピーは自然治癒力を高める働きがあるともいいますので、きっと、元気をチャージしてくれているんでしょうね。
(2)あえて近づかず、そっと見守る
特に賢い猫の場合、家族の不調が分かると、自分のごはんをねだったり、あまえてパワーを使わせてはいけないと思うのか、あえて近づかず、遠くで見守る猫もいるそうです。
猫自身も、自分の具合が悪いと、じっとして体力を温存するので、家族も同じだと思うのかもしれませんね。
かたや、新入り猫は元気いっぱい
そんなふうに、マイペースに見られる猫たちも、ちゃんと私たちの身体のことに気づき、それぞれの形で気にかけてくれています。
猫たちの優しさを受け取って、少しでも早く、いつもの元気な顔を見せてあげたいなあと思います。
……と言いながら、我が家に来てまだ一年足らずの新猫たちは、そこまでの繊細さは持ち合わせていない様子。
まるで、「何かいつもと違うぞ!」「やったー、わくわくするぞ!」とでも言うかのように、家中を走り回って大運動会。
これはこれで、私の変化が分かってる……?
ドタバタと激しく暴れる音に、思わず笑いがこみあげ、元気が出てくるのも確かですが(笑)
咲セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。
ブログ「ちいさなチカラ」