(『天然生活』2022年3月号掲載)
手数の少ない収納術で、見通しのよい空間を
「カフェよりも、家でお茶しているほうが落ち着きます」と話すのは、整理収納アドバイザーの能登屋英里さん。都内にある52㎡の小さなマンションで、夫と5歳になる娘さんと3人で暮らしています。
ものは多いほうなのに、こんなにもすっきり見えて心地いいのは、「見せる」と「隠す」のバランスが絶妙だから。
「特別なことはしていません。ただ、カラフルなおもちゃや薬など、ごちゃつくものや生活感が出るものは徹底して隠しています。逆に、気に入ったデザインのおもちゃやキッチンツールなどは、雑貨のように飾って収納しています」
その際大事にしているのは、いかに少ない手数でものの出し入れができるかどうか。かごや箱に入れるアイテムはひとつだけと決めたり、毎日のように使うものはワンアクションで取れるようにしたりと、工夫を重ねてきました。
「何がどこにあるのか見通しがいいと、あとがすごく楽になるんです。探すこともないですし、ものを重複して買うこともほとんどありません。使ったら簡単に戻せるので、散らかしグセのある夫やまだ不器用な娘も、ちゃんと片づけてくれるようになりました。すごく助かっています」
すぐにでも取り入れたいシンプルな収納術ですが、どこからどう手をつければよいのでしょうか?
「ストレスを感じるところから見直すのがおすすめです。収納場所や仕組みが合っていないから、ストレスを感じてしまうんですよね」
まずは出し入れするまでの手数を分解。そして、もっと楽に片づけられる別の方法がないかと考えるのだそう。
でも、その手数が長時間続くと、収納のプロである能登屋さんでさえもその風景に見慣れてしまい、ストレスに気がつきにくくなってしまうことも。そこで、収納の様子をときどき撮影し、客観的に見て確認しています。
使うものの近くに片づける。労力を省く動線と配置
同じタイミングで使うものは近くに配置して、動線を短く。あちこち取りに行く労力が省けるし、作業効率も上がります。
能登屋さんの、労力を省く動線と配置01
味噌汁用の鍋は出したまま
重たい「ル・クルーゼ」の鍋は、シンクから3歩けば手が届くキッチンカウンターの上を定位置に。
「かがまなくても取れるので楽です」
能登屋さんの、労力を省く動線と配置02
鍋はシンク下に立てて
以前はコンロ下に置いていた鍋。火にかける前に水を入れることが多いと知り、シンク下へ移動。
「収納の師匠が提唱していて。だまされたと思ってやってみたら、快適でした」
能登屋さんの、労力を省く動線と配置03
コーヒーメーカーの近くにマグ
コーヒーメーカーのすぐ下にあるボックスをマグカップ入れに。1杯分の豆が詰まったカプセルも一緒に収納。
能登屋さんの、労力を省く動線と配置04
調味料スプーンは入れたまま
調味料ケースに、母から分けてもらった青汁についてくる計量スプーンをセット。使うたびに洗う必要がなくなる。
能登屋さんの、労力を省く動線と配置05
体温計や連絡帳は玄関近くに
登園前に娘の体温を測って体温カードに記入。体温計、ペン、印鑑は、玄関脇の冷蔵庫にまとめた。
体温カードは娘の帰宅後、マグネットで挟む。
〈撮影/柳原久子 取材・文/小松﨑裕夏〉
能登屋英里(のとや・えいり)
アパレルブランドのディスプレイ担当を経て、整理収納アドバイザーへ。実用的でありながらも見栄えのいい収納が人気。
インスタグラム:@eiriyyy_interior
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです