(『天然生活』2024年1月号掲載)
ものや人を迎え入れる「余白」をつくっておく
「すっきり」という言葉がまさにぴったりくる、引田かおりさんの自宅。
美しく整った部屋には深呼吸したくなるほど清々しい空気が流れていて、どこにもよどみというものがありません。
いまのこの状態からは想像もつきませんが、子育て真っ最中の時期は部屋も散らかりがちだったといいます。
「昔から大好きなホテルがあって、ときどき泊まりに行っていたんですが、家に帰ってくるたび、目に入る景色の差に『あーあ』って思っていました。でもあるとき、そう思わなくていいように家の中をホテルみたいにすっきり整えようって決心したんです」
そこからは小さな改善や改革の繰り返し。生活感のあるものは扉付き収納にしまい込んだり、多すぎるものは減らしたり。
トライアンドエラーを経て、とびきり心地よい空間をつくり上げたいま、「すっきりしていると運気も絶対によくなる」と引田さんは断言します。
「家が整っているといつでも人を招き入れられるし、街で素敵なものに出合ったときも、置くスペースがあるから迎え入れられます。スケジュールがぎゅうぎゅうに詰まっていると、後からやりたい仕事ができても諦めなければいけないのと一緒。大事なのは、新しいことを迎えられる余白を常に持っておくことだと思います」
すっきり整える
ときどき冷蔵庫を空にして中をきれいに
数カ月〜半年に一度、冷蔵庫の中身をすべて出してきれいにふき上げるのが習慣。
「全部を一気にやるのは大変なので、今日は上の段、別の日は野菜室など、場所を決めて掃除しています」
いつの間にか残ってしまう野菜くずや汁などの汚れを落とすことができるうえ、調味料などの賞味期限の点検もできて一石二鳥です。
食材や調味料などを全部外に出して水ぶき。しつこい汚れは電解アルカリ水で。ふだんからものを詰め込みすぎず、すべて見渡せるようにしている
すっきり整える
家の周りを掃く
気になったタイミングで、玄関ドアの前や家の周りの道などを掃くようにしている引田さん。
落ち葉やごみなどをほうきとちりとりでていねいに取り除きます。
「きれいな場所にしておけば、道ゆく人もポイ捨てしようという気にならないですよね。家の周りを常に清めておくことで、ネガティブなことを跳ね返せる気がします」
落ち葉の時季は毎日外を掃く。
「この辺りの人たちは皆で街をきれいにしようという意識が高い。学生さんたちがごみ拾いをしている光景も見かけます」
すっきり整える
毎日お財布の中をきれいにする
「お金もせっかくなら気持ちよく回したい」
そんな思いから、毎日お財布の中を整えることも忘れません。
レシートがたまっているとお札がしわくちゃになったり出しにくかったりするので、毎日帰宅したら取り出します。
お札の向きもそろえて、小銭もさっと出しやすいよう、適度な量に。渡す相手への気遣いに満ちた習慣です。
運気アップの整えるポイント
玄関に花を飾る
ネガティブなものが入ってこないよう、玄関はいつも「結界を張る」という意識で整えています。
その際に大きな助けとなるのが花。生気を放つ植物にパワーをもらうのです。
「選ぶのは色や姿に力のあるもの。赤や黄色の花が多いですね」
家じゅうの鏡をピカピカに
「顔の表情って、意識していないと固まりがち。だから、折に触れて鏡を見ながら笑顔の練習をするようにしています。そのときにピカピカのほうが気持ちいいでしょう?」
リビングや洗面所など、家じゅうの鏡をこまめにクロスで磨いています。
いろいろな神様に頼る
「八百万の神を信じています」という引田さん。
氏神のお札や友人から贈られたアイヌの神様の魔除け、友人のガラス作家イイノナホさんの作品「KAMISAMA」など、「縁あって出合ったもの、いいなと思ったものを家の中に置いています」
<撮影/林 紘輝 取材・文/嶌 陽子>
引田かおり(ひきた・かおり)
2003年より東京・吉祥寺で「毎日の暮らしが少しだけ素敵になる」ものを提案する「ギャラリーフェブ」と、パン屋「ダンディゾン」を夫とともに営む。著書に『「どっちでもいい」をやめてみる』(ポプラ社)、『青空 そよかぜ 深呼吸』(大和書房)、『たぶん だいじょうぶ』(大和書房)他多数。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです