• 暮らし上手の横山タカ子さんに、気分もリフレッシュしてくれる「新しい試み」について聞きました。積み重ねたいつもの習慣も大切にしたいけれど、ときには少しの冒険で日々を豊かに、鮮やかに。新しい年の始まりに試してみたいヒントがつまっています。
    (『別冊天然生活『横山タカ子さんの和のある暮らし』掲載)

    横山タカ子さんが始めた、新しい習慣5つ

    横山さんの新しい試み01
    庭に仲間入りした植物でリースづくりを楽しむ

    画像: 針金はほとんど使わず、つるの流れを生かして。スズメウリの実はよい色になったものを刈り入れています

    針金はほとんど使わず、つるの流れを生かして。スズメウリの実はよい色になったものを刈り入れています

    木々の間を自在に伸びる、つる性の植物が大好きだという横山さん。庭に出る時間が増えたことを好機にと、なじみの花店に新しい種類の苗をお願いしたのだとか。

    「『スズメウリ』という名だそうです。5月に庭の隅に植えたらぐんぐん伸びて、愛らしい実をつけたつるが手元にたくさん残りました」

    庭の山ぶどうと野ばらの実でつくるリースに、スズメウリが新たな表情を添えてくれました。

    横山さんの新しい試み02
    手紙にフウセンカズラの種を添える

    画像: 横山さんの新しい試み02 手紙にフウセンカズラの種を添える
    画像: 庭を望む窓辺に置いた文机が、手紙を書くときの定位置。「使い慣れた万年筆を取り、思いを綴って、判を押して。そんな時間は気分の入れ替えにも役立っています」

    庭を望む窓辺に置いた文机が、手紙を書くときの定位置。「使い慣れた万年筆を取り、思いを綴って、判を押して。そんな時間は気分の入れ替えにも役立っています」

    人との交流がままならなかった時期には、手紙を書く機会が一層増えました。名入りの便せんに折々の出来事をしたためたら、庭のフウセンカズラの種をそっと同封するアイデアが最近のお気に入りです。

    「植物が芽吹く姿は、人に元気と温かな気持ちを分けてくれますよね。フウセンカズラは種のハート形の模様が眺めているだけでも愛らしいもの。『元気でいましょうね』の思いを込めて送っています」

    横山さんの新しい試み03
    毎夕の献立を「食日記」に記録する

    画像: 食日記用の日記帳とペンはまとめてかごに入れ、食卓の隅に。「すぐに書き留められる環境づくりと、『無理せず、気負わずに』という気楽さが継続の秘けつですね」

    食日記用の日記帳とペンはまとめてかごに入れ、食卓の隅に。「すぐに書き留められる環境づくりと、『無理せず、気負わずに』という気楽さが継続の秘けつですね」

    幼いころから「記録好き」で、書きためた日記帳はもう何十冊にも。それに加えて、夕食の献立を書き記す「食日記」も始めました。

    「『今日はわれながらよくできた!』 なんて思う日の献立も、書き留めておかないと案外何をつくったか忘れてしまうものですよね。毎日の食事づくりの参考にもなりますし、少しときをおいてから見返すのも発見がありそうで、楽しみです」

    横山さんの新しい試み04
    歩数計で日々の運動量を意識する

    画像: 「目にしたなかで一番シンプルだった」というタニタの歩数計を帯の内側にしのばせて

    「目にしたなかで一番シンプルだった」というタニタの歩数計を帯の内側にしのばせて

    予定していた講演や催しも延期となり、家で過ごすことが多かった日々のなか、「実は、久しぶりに体重が増えたんですよ」と横山さん。体調管理も兼ねて、歩数計を持ち歩くのが新しい習慣になりました。

    毎日の運動量のめやすとして、見るだけでなく、「日記帳の片隅に、その日の歩数をつけておくことにしました」とは、さすが筆まめな横山さんならでは。

    横山さんの新しい試み05
    季節の到来もので新レシピに挑戦

    画像: 天日干ししたなつめ450gに焼酎1,200mLを注いで、1カ月程度で飲み頃に

    天日干ししたなつめ450gに焼酎1,200mLを注いで、1カ月程度で飲み頃に

    離れた場所に暮らす友人やファンの方から届く、季節の便り。到来ものを生かす保存食づくりも「いつもの定番」を少し離れて、新しいレシピに挑戦し、発見を楽しんでいます。

    「いままで、はちみつ漬けにすることが多かったなつめですが、焼酎漬けに挑戦してみました。ときとともになつめの甘味がお酒に染み出し、砂糖いらずのおいしさです」

    「もともと続けてきたこと」から、少しだけ冒険して

    信州を拠点に、全国へと足を延ばして講演会や取材などを精力的に行ってきた横山さん。出かけることも思うようにかなわず、会食もはばかられるコロナ禍には、心にも体にもさまざまな変化を体感したと話します。

    そんなとき、横山さんを元気づけてくれたのが、5月のうちに庭先にまいておいた植物たち。

    「なじみの花屋さんに、『新しいつる性の植物はないかしら』と相談し、スズメウリの苗を植えたんです。これがびっくりするほど伸びること、伸びること。ちょっぴりあきれながらも、その旺盛さにはずいぶん元気をもらえました」

    そんな「芽吹きのうれしさ」のおすそわけをしようと思いついたのが、植物の種を添えて手紙を送ること。種のハート形の模様が愛らしい、フウセンカズラを庭から集めて、友人たちに「エールを贈り合う気持ちで」投函しました。

    少しずつ、また前を向く気力がわいてきたとき、まず気になったのが体力面。外出が減ったことによる運動不足は自覚していましたが、体重の増加に気づき歩数計を持ち歩くことに。

    「ウォーキングなどをする性分ではないので、なおのこと『どれだけ運動しているか』を知っておくのが大切ですよね。もともと習慣にしている日記帳の片隅に、毎日の歩数を記録するようにしていたおかげか、体重も少しずつ戻っていきました」

    このほか、新しいレシピにチャレンジしたり、日記のほかに食をテーマにした備忘録を始めたり。横山さんが取り組んだ新しい試みは「もともと好きなこと、続けてきたこと」の少しだけ外側にあるものが多いようです。吹く風も涼しく、空も高く晴れ渡る秋の清々しい気候も、横山さんの背中をそっと後押ししました。

    「小さな挑戦は、何気ない日常にちょっと窓を開けて空気を入れ替えるような喜びをもたらしてくれますね。不測の事態によって、挑戦ができることのありがたさを、いつもに増して実感することができたように思います」


    〈撮影/山浦剛典 取材・文/玉木美企子〉

    ※ 本記事は『横山タカ子さんの和のある暮らし』(扶桑社)からの抜粋です

    * * *

    『横山タカ子さんの和のある暮らし』(横山タカ子・著/扶桑社)

    画像: 新しい年は‟少しの冒険”で日々を豊かに、鮮やかに。料理研究家・横山タカ子さんが始めた、5つの「新習慣」

    amazonで見る

    人にも、環境にも心地よい。「和のある暮らし」をご一緒に。

    信州に生まれ育ち、ずっと暮らしてきた料理研究家・横山タカ子さんの、四季の自然に寄り添った、小さいけれど奥深い暮らしをご紹介します。


    横山タカ子(よこやま・たかこ)
    長野県大町市生まれ、長野市在住。長年にわたり信州各地を訪ね歩き、郷土料理や行事食の取材を重ねる。野菜たっぷりのシンプル料理や、「さしす漬け」をはじめつくりやすい保存食のレシピが定評。「趣味は暮らし」と、四季のしつらいや和装、手仕事のセンスにもファンが多い。
    インスタグラム@takakoyokoyama_sasisu



    This article is a sponsored article by
    ''.