(『天然生活』2021年3月号掲載)
「庭」で始める、1m²の自然菜園
仲よく育つ野菜を植えれば四季を通して収穫が楽しめます
土を耕さず、無農薬で、雑草を生かす。自然となるべく共生する家庭菜園の方法を「自然菜園」と呼び、講習会などで広く伝えている竹内孝功さん。
最小限、庭に1m²のスペースがあれば、季節に応じた収穫が楽しめるといいます。
「家の庭は、大きなプランターだと思ってください。畑ほど根は張れませんが、相性のいい野菜同士を植えれば仲よく育ちますよ」
自然菜園のポイントは、野菜の組み合わせによって土を育てていくことにあるそうです。植えた野菜の根っこや、刈り取った草、集まる微生物が互いによい影響を与えるように、小さくても循環的な環境づくりを目指します。
今回、紹介するのは初心者でもトライしやすいプランです。
毎年、同じ場所で同じ野菜たちが育てられるように、年間計画を立てました。相性のいい野菜を一緒に植えること、そして夏のミニトマトのあとに、流れとして最適な冬のキャベツを植えることで、次の春にはまたミニトマトが植えられるようになります。
庭の土はそのままだと野菜が育ちにくいケースが多いため、最初の年だけ深く掘って腐葉土などを足してから始めましょう。
冬の野菜を収穫したあとは、病気予防のためにねぎを植えながら、春がくるのを待ちます。
春〜夏
春から準備をし、夏場の収穫を楽しむ菜園プラン。
ミニトマトを育てるうえで相性のいい野菜を植えていく。
落花生は根っこの根粒菌に土を豊かにする働きがある。
バジルとイタリアンパセリの香りは虫を寄せ付けない効果も。
秋〜冬
ミニトマトが育った土でキャベツやブロッコリーが育ちやすいことを利用した、冬場の菜園プラン。
サニーレタスは赤を選んで虫除けに。
キャベツが育った土は有機物が分解されるため、翌年再び右のプランを育てるリレー栽培が可能!
3〜4月
「土づくりをする」
庭に1m²の広さがあり、根を張るための土の深さが30cmぐらいあれば、野菜を育てることが可能。
苗の植え付けや種まきをする一カ月前までに、土づくりを済ませる。時季的には、地域に梅の花が開花するころを目安に。
5月
「苗を植え、種をまく」
霜がおりなくなったら、植え付けのタイミング。
図のように2m支柱を4本組んでから、苗を植え、落花生は種をまく。
このプランでは夏場の野菜を片づける前に、冬場の苗を植えていくため、角のスペースは冬場の苗のために空けておく。
6月
「脇芽を摘み、枝を整える」
ミニトマトの一番花が咲いたら、花の下のわき芽を伸ばして、枝が大きく2本に分かれるように育て、支柱に沿わせていく(2本仕立て)。
それ以外のわき芽は、これ以降すべて摘む。
梅雨明けにグンと成長するのを楽しみながらお世話をしよう。
7月
「収穫スタート」
ミニトマトは赤く色づいて完熟した実から、収穫を始める(多少青いままもいでも、少しおけば追熟もする)。
バジルは頭頂部から使う分だけ少しずつ収穫すると、わき芽がどんどん成長して大きくなる。
イタリアンパセリも使う分だけを収穫するように。
9月
「冬の植えつけを始める」
冬場の苗が出回ったらすぐに取りかかる。
夏場の野菜を残したまま、株間に虫除けが期待できる赤いサニーレタスを植え、次にキャベツやブロッコリーを植える。
ミニトマトなどが日陰をつくり、虫から見つかりにくくなるため育ちやすくなるメリットが。
10月
「夏野菜を片づける」
キャベツやレタスの葉が10枚ぐらいに育ったら、夏場の野菜を片づける。
この際、根っこは抜かないのがポイント。
トマトは地上部を刈り取り、短く切って土の上に敷くとよい(草マルチ)。
バジルもイタリアンパセリも見切りをつけて刈り取る。
11〜12月
「落花生を収穫」
ミニトマトが終わったら、落花生を収穫。
根っこに豆が付いているので、植えてある冬場の野菜に気をつけながら引き抜く。
ゆでて食べるのが簡単でおいしい。
調理せずに乾かし、サヤがついたまま適切に保存すれば、来年、種としてまくことも。
レタス、茎ブロッコリーの収穫スタート
最初のブロッコリー(頂上のつぼみ)は、500円玉ほどの大きさになったら早めに収穫。
その後、わきからスティック状のブロッコリーが伸びてくるので、つぼみがかたいうちに収穫していく。
レタスは外葉をかき取って少しずつ収穫すると、長く楽しめる。
キャベツを収穫し、ほかを片づける
キャベツの形に丸くなり(結球)、手で押して葉の詰まったようなかたさがあれば収穫し、片づける。
そのほかの野菜は、霜がおりたら片づけのタイミング。
ともに株元から刈り込み、根っこは抜かずに土の中へ残す。
*栽培時期は目安です。地域の条件(苗の出まわりや、霜など)に合わせて栽培してください。
<監修/竹内孝功 イラスト/小春あや 構成・文/石川理恵>
竹内孝功(たけうち・あつのり)
自給自足Life代表。20年以上にわたり自然農法を実践。『1m²からはじめる自然菜園』(学研プラス)、『コンパニオンプランツで失敗しらずのコンテナ菜園』(家の光協会)などの著書を持つほか、自然菜園教室を主宰し、現在はオンラインセミナーも展開中。https://shizensaien.stores.jp/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです