雑誌『天然生活』連載に込めた、被災地への想い
令和6年能登半島地震により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。みなさまの安全と、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
2024年1月1日、16時10分、石川県能登半島でマグニチュード7.6の地震が起こりました。この地震により日本海沿岸の広範囲に津波が襲来したほか、奥能登地域を中心に土砂災害、火災、液状化現象、家屋の倒壊、交通網の寸断が発生し、甚大な被害をもたらしました。元日に発生したこともあり、帰省者の増加による人的被害の拡大やなど、社会的にも大きな影響がありました。
『天然生活』では、被災されたみなさまに心を寄せて、2024年6月号より、石川県生まれ、現在金沢在住のイラストレーター、赤池佳江子さんに、目次イラストを描いていただいております。毎号届くのは、美しい自然と、豊かな文化をもつ能登半島の風景を中心としたイラスト。ひとつひとつに、復興への想いが込められています。
なかには、震災後、消えてしまった風景もあります。それでも、「希望を捨てず、一日でも早く、日常生活が戻りますように」と祈りを込めて描き続けてくださいました。
今回は、赤池さんの想いをお伝えします。美しいイラストとともに、どうぞお読みください。
『天然生活』編集長 八幡眞梨子
赤池佳江子さんが描く、地元の人々が愛するあの風景
自然豊かな石川県は四季折々で楽しめますが、とくに冬は寒さが厳しい分、海の幸のおいしさは格別です。また、夏の能登の海は雄大でとても美しいです。
春の風景
「のと里山海号」
田植えを終えたばかりの水田と赤い能登キリシマツツジが咲くなかを、電車が走る景色は、とてものどかでいやされます(赤池さん・以下同)。
「輪島朝市」
2024年の元旦の火災で朝市通りの町並みは失われてしまいましたが、何度も訪れた景色を思い出しながら描きました。
夏の風景
「能登のキリコ祭りと花火」
普段は素朴で温かいといわれる能登の人柄ですがお祭りはとても激しくエネルギッシュです。キリコは地域によってそれぞれの形やサイズは様々で特色が違うのも見どころです。
「奥能登の揚浜式塩田」
「揚浜式塩田」とは石川県珠洲市で500年以上前から継承されてきた海水をくみ上げて塩をつくる伝統技法です。海水を塩田に撒く風景は観光名所となっています。
秋の風景
「能登の獅子舞」
秋祭りのイメージで描きました。ゆったりとした金沢の獅子舞とは違い、能登の獅子舞は軽快なリズムで舞います。
「能登の穴水町のボラ待ちやぐら」
江戸時代に始まったボラ漁。やぐらの上で海底に仕掛けた網を見張るというなんとものんびりした漁です。いまはもう使われていませんが、モニュメントとして残されています。
冬の風景
「兼六園の雪吊り準備」
金沢市の兼六園では、もうすぐ訪れる冬に向けて雪吊りの準備をします。庭師が雪吊りの芯柱の先端に立って作業する風景は見ごとです。
「雪の金沢城と加賀鳶」
年が明けると金沢城公園で出初め式が開催されます。消防団による一斉放水と40本以上の梯子を立てて行う梯子登りの「加賀鳶」は壮観です。
「輪島市の間垣の風景」
間垣は日本海から吹き付ける強い風から家屋を守るための竹製の防風垣で、能登の厳しい自然の中で暮らす人々の知恵です。
再び訪れる、能登の春
「能登島の黒屋根瓦の町並み」
能登島大橋から「のとじま水族館」へ向かう途中に見える艶やかな黒い屋根瓦の風景は美しく、海とのコントラストに春の訪れを喜ぶ人たちを描きました。
『天然生活』の赤池佳江子さんの連載は、2025年5月号まで続きます
〈イラスト/赤池佳江子 取材・文/八幡眞梨子〉
赤池佳江子(あかいけ・かえこ)
イラストレーター。石川県金沢市生まれ。金沢美術工芸大学卒業。唐仁原教久氏に師事し、HBスタジオ、HBギャラリーで勤務。2009年に金沢に戻り独立。能登を応援するLINEスタンプが発売中(売り上げ全額を能登へ寄付)www.akaikekaeko.com