雛祭りを楽しむための食卓と道具

季節の行事を積極的に楽しむことで日常がぐっと楽しく鮮やかに。

今日はいつもより手をかけてお祝いです。

「あるとき、押し寿司の型が欲しいというお客さんの注文が入り、それを機にあれこれ取り寄せて試してみたんです。いままで使ったことのない道具でしたが、いざトライしてみると、思ったより簡単に押し寿司ができる。とにかく食卓が華やかになって楽しくて。ちらし寿司より手が込んだように見えるし、食べやすいのもいい」

3月3日は夫君の誕生日ということもあり、雛祭りは押し寿司を並べてお祝いというのが習慣になりそうな土切家です。

「この日はこの料理」と決めて定番化し、その家ならではの暦をつくっていくのは楽しいこと。

連綿と続く日常に、季節ならではのごちそうで句読点を打つのです。

食卓を彩る道具

押し型①

よくぬらした木枠の底に好みのネタを敷き、その上からごはんを詰め、押しぶたで押す。ひっくり返してふたをとり、ガイドに沿ってカットして木枠をはずす。

「数種をつくって市松模様に並べると、豪華に見えますよ」

押し型②

梅型、ひょうたん型の押し型。

「ごはんを詰めてふたで押すだけなのですが、ただの白いごはんでも型で抜くだけでよそゆきになり、おもてなしにあると便利です」

はし置き

中国のお菓子の型からつくっているという錫製のはし置き。

「特別な器やコーディネートにしなくても、はし置きをちょっとおめでたい形や色のものにするだけで食卓は華やかに。気軽に集められるしおすすめです」

豆皿

縁起物の右向き鯛。

「食卓に変形のお皿を混ぜるとリズム感が出ます。比較的安価で、小さなものなので冒険もしやすいですね」

＜撮影／砂原 文　構成・文／鈴木麻子＞

土切敬子（つちきり・けいこ）
東京・井の頭公園にある『だいどこ道具ツチキリ』店主。自身が日々使って「いい」と思った台所道具を販売。インスタグラム＠daidoko_tsuchikiri

※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです