(『天然生活』2022年1月号掲載)
身近なものを生活に取り入れて自然のなかで豊かに暮らす
神奈川・鎌倉の市街地を通り抜け、山へ続く階段を上がると現れるぽっかり開けた庭。
その庭を囲むように建つ4軒の古い家のひとつが、山下りかさんの住まいです。
庭は、山下さんの暮らしを支える大事な存在です。一角は耕して畑にし、山梨でビオ農法をしている友人から譲り受けた種をまき、野菜やハーブを育てています。
畑以外も、せりやヘビイチゴ、ネトルなどの野草が自然と生えてくる大切な場所。毎日のように庭に入り、耕したり、草むしりをしたりと、手入れに励んでいます。
「野草はそのままお茶やスープの食材に使うことが多いです。乾燥させて入浴剤にすることも。ホワイトリカーなどに漬ければかゆみ止めにもなります。暮らしのさまざまなシーンで役立つ野草が身近にあることは、本当にありがたいなと思います」
友人の力や、身のまわりにある植物の恵みに感謝しながら、想像力を働かせて手を動かす時間が、山下さんの日々の暮らしを豊かにしてくれるのです。
畑で栽培したハトムギ。乾燥したのでこれから実を収穫するところ。
「枝は、ヒンメリをつくるのに使えそうですね」
工夫
庭の草花で体をいたわる
その日の気分と体調に合わせて摘み、お茶として飲んで体をケア。

春から秋は摘みたてを楽しむ。洗った草花をポットに入れてお湯を注ぐだけ。「香りがフレッシュです」
「肌寒くなったので、風邪の引き始めに飲むとよいエキナセアを選びました」
ほかに、山下さんが好きなホーリーバジル、セントジョーンズワート、バラをプラス。

ツル植物をクルッと丸めてリースに

庭に自生するネトル。「スープにするとおいしいです」

左ふたつは、ホワイトリカーで漬けたびわの葉とどくだみの花。かゆみ止めの効果が。「右上の、バラの花を漬けたお酒はバニラエッセンスの代わりに使います。下の、どくだみの葉を蒸留した透明な液体は化粧水に」
「組み合わせや抽出時間にルールはありません。いろいろと試して楽しんでいます。身近に生えている野草を入れても。ハーブはプランターで育ててもいいですね」
工夫
くるみの殻を利用した手づくりキャンドル
捨ててしまいがちなくるみの殻は、山下さんにとっては大事な素材。
真ん中の筋に沿ってきれいに半分に割れたものは、取っておきます。
よくつくるのがみつろうキャンドル。

水に浮かぶくるみキャンドル。ガラス製の容器を使うと、水やガラスに炎が反射して幻想的な雰囲気に
「コロンとした形がかわいいですよ。つくり方はとても簡単。殻の中央に市販の芯を置き、湯せんで溶かしたみつろうを流し入れれば完成です。殻の中にプレゼントを入れて、ギフトボックスにするのもおすすめ」

キャンドルの火消しもくるみの殻で。丈夫な枝を接着材でつけるだけ
<撮影/大森忠明 取材・文/小松﨑裕夏>
山下りか(やました・りか)
雑誌『オリーブ』のスタイリストを経て渡米。現在は手仕事作家、ライアーという竪琴の演奏家として活動。年に4回、ライアーのミニコンサートを開催。https://rikayamashita.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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