(『天然生活』2024年3月号掲載)
目の不調を改善する、5つの「習慣」と「環境」の見直し
「老眼や疲れ目の元凶は加齢ではなく酸素不足です」そう語るのは、目や体の不調を診る整体院の今野清志院長です。
「目は毛様体という筋肉が収縮と弛緩を繰り返してピントを合わせますが、1日中働くだけに大量の酸素を必要とします。しかし現代人の生活は酸素が不足しがちなうえ、心臓や脳に優先的に供給されるため目は慢性的な酸欠に。すると毛様体が弾力を失い、ピント調整機能が衰えて視力低下や老眼を招くのです」
目の不調を改善するには、呼吸を深め、適度に体を動かして栄養を十分に摂ることが大切です。目だけでなく、体全体の調子を整える意識で生活を見直しましょう。
目と脳をいやすための「環境」と「習慣」1
スマホを見るならひざの上に置いて

スマホの画面を至近距離で見ると毛様体が緊張するだけなく、ブルーライトの影響を強く受けてしまいます。日頃から40cm程度目から離して見るようにしましょう。
どうしても電車やバス内でスマホを操作しなければならない際は、ひざの上にスマホを置くのがちょうどよい距離。目への影響を最小限に抑えることができます。ただ、顔が下向きになると気道がふさがって吸い込む酸素の量が減るので、長時間見つづけないようにご注意を。
読書のときも40cm程度の距離を保つのが理想です。最近は文字が大きめの文庫本なども増えています。なるべくそういう本を目から離して読むようにしてください。文字の小さい本や新聞はルーペを使うとよいでしょう。
目と脳をいやすための「環境」と「習慣」2
毎日、同じ3つのランドマークを見る

私たちは日頃、近くのものばかり見て生活し、毛様体は緊張して縮みっぱなし。外を歩くときはできるだけ遠くを見て目の緊張をほぐしましょう。
決まった場所から同じものを見る方法もぜひ試してみてください。いつも通る交差点やバス停など場所を決め、遠くに見えるビルの広告、少し手前の交通標識、近めのお店の看板など、距離の違うランドマークを3つ選んで毎日見え方をチェックします。
同じものを見ても、ぼやけていたり、くっきり鮮明だったり、その日の体調や視力の変動を知るうえでも役立ちます。ぼやけて見える場合は脳が酸素不足の可能性が。目的地まで遠回りして歩くなどして全身の血流を高めると見え方が変わってくるはずです。
目と脳をいやすための「環境」と「習慣」3
昼間は窓からの自然な光で過ごす

シーリングライトやペンダントライトなどの天井照明の光量は強いものが多く、プラスイオンを大量に発して目や体を疲れさせます。
日中はなるべく窓からの自然光で過ごし、照明が必要なときもスタンドライトやフットライト、壁に取り付けるブラケットライトなどの間接照明を使いましょう。
壁や床に反射した光が周囲をやわらかく照らす間接照明は目にやさしく、脳も体もリラックスできます。
天井照明で調光機能がある場合は極力光量を落とし、ない場合は目をいやす緑色や暖色系をインテリアに取り入れてみて。
また、観葉植物の緑は目に安らぎを与えてくれ、植物が発するマイナスイオンで空気がきれいになる効果もあります。
目と脳をいやすための「環境」と「習慣」4
家では眼鏡とコンタクトは着けない

眼鏡やコンタクトレンズの装着時間は短いほど、目に負担がかかりません。
視力が悪い人も慣れた家の中なら危険も少ないはず。なるべく裸眼で過ごしましょう。
裸眼のまま自分の手元を見たり、部屋の奥を見たり、距離の違うものを交互に見つめることで毛様体のストレッチに。毛様体を鍛えれば水晶体のピント機能が少しずつ改善されていきます。
また、目の角膜は空気中の酸素を取り入れて代謝エネルギーにしていますが、コンタクトレンズはその呼吸を妨げます。酸素不足が続くと、角膜が白く濁って視力が急激に落ちる可能性も。
酸素透過性の高いコンタクトレンズも裸眼にはかないません。人前に出るときなど、時間を限定して使うようにしてください。
目と脳をいやすための「環境」と「習慣」5
昔見たきれいな風景を思い出す

私たちが見たものを認識できるのは、視神経を通じて脳の視覚中枢に伝達されるから。つまり、目と脳で見ているのです。
美しい景色や大好きな映像など、見て印象に残ったものは何年たっても脳が覚えています。それをなるべく細部まで思い出す「瞑想法」は、目の状態を改善する効果があります。
子どものころに見た景色などを頭で再現すると、脳が見えていたころの記憶を取り戻し、不思議なことに実際に視力が改善に向かうことも。
また、老眼や視力低下を感じても「見えない」と決めつけないで。脳は見えないと思うと、見ようとしなくなり視力は下がる一方。「見よう」という意識をもち、裸眼で見つめていくことで視力回復の訓練になります。
〈監修/今野清志 イラスト/もとき理川 取材・文/熊坂麻美〉
今野清志(こんの・せいし)
中医学をベースにした手技療法で目と耳をいやす施術院「日本リバース」院長。薬を使わず、人間が持つ治癒力を呼び覚ます治療法の確立をライフワークとし、テレビやラジオなどメディア出演も多い。著書に『いつでもどこでも目がよくなる小さな習慣』(だいわ文庫)、『自律神経は1分で整う!』(自由国民社)などがある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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