• 朝から夜まで家事に追われてしまうなら、思い切ってひとつやめたり、見直したりして、シンプルな家時間の過ごし方を考えてみませんか。ギャラリーfèveオーナー・引田かおりさんに、無理をしないシンプルな家事のルール5つを教えていただきました。
    (天然生活2021年8月号掲載)

    「もやもや」をやり過ごすことなく、日々をアップデート

    じっくりコツコツ、てきぱきサクサク。人をこの2種類に分けるとしたら、引田かおりさんは後者。

    「『最小の力で最大限のことをやるにはどうしたらいいかな?』って考えて実行していくのが好きなんです。逆に地道な作業は、得意じゃないかもしれない」

    思い立ったら即実行。すさまじいスピード感と行動力で、家の中の小さな改革を続けてきました。

    「子どもの乳児期に、夜中の授乳がしんどいな~と思ってて。打開策として枕元に粉ミルクと魔法瓶を置いておけばいいんだ! って思いついたんです」。それからは、真夜中、ベッドを抜け出しキッチンまで行かなくてよくなったという、家事の小さな革新エピソードです。

    暮らしを動かすなかで、日々生まれる「もやもや」。不便だな、危険だな、多すぎるな。そういう引っ掛かりをやり過ごすことなく、生活のアップデートを重ねてきました。

    『しなくてもいい手間』は極力省いてシンプルに

    長年愛用していた鋳物鍋は、「手がすべって落としたら危険」と思うようになり、軽い片手鍋に交換。台所の水切りかごは、「清潔を保ちづらい」からと、やめてマットを採用しました。どちらも結果万歳、台所仕事が格段に気持ちよくなったと胸をはります。

    「現状をよりよくしたいって、考えるのが好きみたいです。あと、『しなくてもいい手間』は極力省いてシンプルにしていきたい。そのために、何か案を思いついたら、どんどん試してみるんです。機を逃さないって大事よ」

    コロナ禍、ほとんどの時間を家で過ごすようになり、「暮らしの小さな改革」はますます頻繁に。そして、大きな変革もありました(取材時は2021年6月)。「空間を整えること」に対して、以前よりおおらかになったよう。

    画像: コロナ禍で増えた「カーリン(引田さんの愛称)便」。 「調子が悪いと聞くと、腹巻きと絹の五本指靴下のセットを送るんです」

    コロナ禍で増えた「カーリン(引田さんの愛称)便」。
    「調子が悪いと聞くと、腹巻きと絹の五本指靴下のセットを送るんです」

    「『ホテルみたいに暮らしたい』って思っていて、部屋の隅々までピシッと整えていました。孫が遊びに来て帰ったら、散らかったもの全部を片づけて痕跡を消して……。

    でも、いまはおもちゃも表に出しておくし、彼らが描いた絵を貼ってみたり。これまでは自分が心地よくて片づけていたのですが、いまはもう少しゆるめてもいいのかな? という気分なんです」

    内と外、オフとオンの境がほとんどなくなっているいま、もう少し「混沌とした生活感」も楽しいかなと思っている引田さんです。

    画像: 小さなテーブルの上には孫たちが使う「レゴブロック」が

    小さなテーブルの上には孫たちが使う「レゴブロック」が

    画像: 最近やってきた「ビスレー」のキャビネット。愛犬の死を機に大きな引き出しの中身を見直し、この引き出しの容量にまで持ち物を圧縮

    最近やってきた「ビスレー」のキャビネット。愛犬の死を機に大きな引き出しの中身を見直し、この引き出しの容量にまで持ち物を圧縮

    画像: 孫が描いた塗り絵は「貼って!」とせがまれキッチンにピンナップ。大人の空間にチャーミングさが生まれた

    孫が描いた塗り絵は「貼って!」とせがまれキッチンにピンナップ。大人の空間にチャーミングさが生まれた



    〈撮影/濱津和貴 取材・文/鈴木麻子〉

    引田かおり(ひきた・かおり)
    夫の引田ターセンとともに、東京・吉祥寺で「ギャラリーfève」とパン屋「ダンディゾン」を営む。『日々更新。 風通しよく年を重ねていくこと 』(ポプラ社)など著書多数。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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