• 東京から北海道へ移住を決めた「あたらしい日常料理 ふじわら」の藤原奈緒さん。今ある肩書きにとらわれず、自分らしく軽やかに生きる。人生の転機を迎え、あたらしい自分に出逢っていく冒険の日々を綴ります。今回は、移住までの半年間に起こった、さまざまな事件について。

    突然の母の入院、土地問題…移住を決めてからの一喜一憂の半年間

    今もその渦中にいるのですが、人が暮らす場所を動かすって、思った以上にすごいことです。大きなことから小さなことまで、とにかくいろいろある。

    今回は北海道の家を買って移住すると決めた2024年の3月からの半年間を、ざっくりと時系列で綴ってみます。

    この頃はだいたいふた月に一度くらいは北海道と東京を行き来していました。

    画像: 突然の母の入院、土地問題…移住を決めてからの一喜一憂の半年間

    3月に訪れた北海道では、家主のカールさん智子さんご夫妻に家を買います、とご挨拶して、工事をお願いする大工さんにはじめて会いました。忙しい方なので、秋ごろのスケジュールを確保してもらうようお願いをして、それから資金の相談のため、金融機関にご挨拶。

    それが終わって東京に戻ったら、移住のお知らせを兼ねて、あちこちに出向きました。野外のクラフトフェア、百貨店の催事、取引先のショップでポップアップをいくつか。

    5月、大好きな方の還暦のお祝いに向かうタクシーのなかで札幌の母から「心筋梗塞で入院したけど、心配するな」というメッセージ。

    あとで電話をしたら、胸が苦しくなって仕事を早退し、自分で病院に行ったらそのまま入院になったそう。家でひとりで倒れなくてよかった…!

    ちょうど数日後に北海道に行くことになっていたので、1日早めて病院へ。母は1週間ほどで退院して元気になったけれど、今後はこういうこともあるかもしれないから、今北海道に行くという流れでよかったのだな、と思った出来事でした。

    融資直前に発覚した新たなトラブル

    6月、もろもろの条件が出そろって、北海道の信用金庫へ資金調達の申し込みへ。

    そうしたら翌月、こんな電話がかかってきて度肝を抜かれたのでした。

    「藤原さんが買おうとしている土地の一部がカールさんたちではなく、ほかの方の持ち物になっています。そこをなんとかしないと融資がおりません」

    画像: 融資直前に発覚した新たなトラブル

    少しややこしい話なのですが、こういうことらしいのです。

    家の前の道路に面した細長いその土地は、いずれ公的機関が買い上げる用地だとなんとなく聞いていたのだけれど、今回融資を受けるにあたってその条件のひとつとして、購入予定の土地が道路と面していることが必要なので、その土地をなんとかする(このあと紆余曲折あり、結局購入の)必要があるとのことでした。

    ???!!!

    あちこちに相談して。ひと月ほどやきもきする時間が続きました。しびれを切らして司法書士さんに土地の持ち主に連絡してもらうも、ご高齢なので息子さんが同席されるときにしか話をまとめられないから、少し時間をください、とのこと。

    “諦める”をやってみたら、希望が差してきた

    移住を決めたこの年のはじめから、とても大きなプレッシャーのなかにいて、バタバタと走り続けてきました。

    画像1: “諦める”をやってみたら、希望が差してきた

    移住のこと。仕事のこと。それから大きいプロジェクトを手掛けていました。どれもずっとやりたかった大事なことで、だからとても力が入っていた。

    それが思うように進まないことで、諦める気持ちが浮かんで、そうしたらふっと楽になったのです。

    全部とても大事なことだから、時間がかかってもいい、遅れてもいい。それが必然ならたぶん方法はあるから、ひとつずつ大切にやろう。

    力が抜けたら、ふと希望がさしてきた。この時の感覚ははっきりと覚えています。状況をコントロールしようとしないことが自分に大きな余裕をもたらしたのですね。

    画像: 去年の手帳にあったメモ。「災いと恵みは表裏一体」

    去年の手帳にあったメモ。「災いと恵みは表裏一体」

    この間、申し込もうとしていた補助金をあきらめ、少し時間をかけることを受け入れました。

    10月末で店は退去することにしていたけど、本来の契約の切れるタイミングだった25年3月末に戻すことに。

    そうして8月、件の土地を購入する手はずが整い、ようやくGOサイン。長かった……と思ったけれど、別の場所で土地を買った友人は3年かかったのだそう。

    持ち主がご高齢で手続きを進められない、という問題は、今や社会的な課題になっているのですね。

    そこからすすめて、実際ローンがおりたのは1年前に物件を見に行ったのと同じ、10月30日。そして工事をスタートできたのは翌日、11月1日は店の10周年の日でした。不思議なものです。

    画像2: “諦める”をやってみたら、希望が差してきた

    さて、当時住んでいた東京の家が建て替えになることが決まっていて、出なくてはならないリミットは11月末。

    いっこうに落ち着かない日々はまだまだ続くのですが、この頃には、移転するってそういうことなのかな……と思うようになっていました。



    画像: 撮影/伊藤徹也

    撮影/伊藤徹也

    藤原 奈緒(ふじわら・なお)
    料理家、エッセイスト。“料理は自分の手で自分を幸せにできるツール”という考えのもと、商品開発やディレクション、レシピ提案、教室などを手がける。「あたらしい日常料理 ふじわら」主宰。考案したびん詰め調味料が話題となり、さまざまな媒体で紹介される。共著に「機嫌よくいられる台所」(家の光協会)がある。
    インスタグラム:@nichijyoryori_fujiwara
    webサイト:https://nichijyoryori.com/

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