毎日手に取りたくなる、感動の使いやすさ
「本当に使いやすいんです! 細かいものも持てるし、盛りつけも上手にできます。好きすぎて毎日手に取ってしまいます」
いつもおっとり穏やかな松本さんを、少し興奮気味な口調にさせるほどの魅力を持つのは、京都の老舗お箸専門店・御箸司 市原平兵衞商店の京風もりつけ箸 中(約28cm)・小(約23cm)です。
「よく使うのは“小”ですが、食材や料理の内容によっては“中”を使っています」

長さ約28cmの「中」(写真上)と、約23cmの「小」(写真下)
体験してほしいのは「つめる」と「ほぐす」
初めて手に取ったのは京都に住んでいた20代の頃だそう。
「あまりの使いやすさに感激した」といいます。
そこから20年、ずっと同じもりつけ箸を愛用しています。
「ぜひ使ってもらいたいのは、お弁当箱におかずをつめるとき。先が細いので、思い通りに入れていくことができます。あとは、魚をほぐすときです。驚くほどきれいにほぐれますよ」
ほかにも「太い箸のほうがよい」とも言われる、卵をとくときや卵焼きをつくるときにも活躍しているそう。

菜箸は、木べらなどと一緒に竹筒や陶器にさして収納している
まだ使いきれていない“手元部分”の魅力も
「実は手元部分はやわらかいものを挟んだり、ヘラとして使えるデザインになっているそうなんです」と松本さん。
箸先の細さの虜になり、まだ手元部分の魅力を十分には使いこなせていないと言います。
まだまだ魅力の奥が深いもりつけ箸。
「これからもずっと使い続けていきます」と話してくれました。
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天然生活2025年5月号では、本記事で愛用道具を教えてくれたかえる食堂・松本朱希子さんの、愛おしくてちょうどいい「小さな台所」を紹介しています。ぜひあわせてお楽しみいただけましたら幸いです。
〈撮影/星 亘 取材・文/飯作紫乃〉

松本朱希子(まつもと・あきこ)
料理家。「かえる食堂」主宰。季節に寄り添った料理を雑誌や書籍で提案している。夫と娘と3人暮らし。著書に『かえる食堂のお弁当』(筑摩書房)など。