• 東京から高知へ。新たな暮らしで見つけたのは山や海へ出かけ、自然の営みのなかで、旬の食材を味わって、くすくす笑って暮らすことでした。トラネコボンボン主宰・中西なちおさんと、夫の義明さんがたどり着いた、等身大の自分たちらしい暮らしと、ふたりの「一番大事」をお聞きしました。
    (『暮らしのまんなか』vol.33より)

    賃貸でいい。そう割り切ったら暮らしの足場が決まった

    「21歳で高知を出てから、1カ月以上、高知で過ごしたことがなかったんです。初めて季節の移り変わりを体験して、旬の野菜を料理しながら、こうやって暮らしていきたいなあと自然に思うようになったんです」

    こうして、東京から拠点を高知に移すことを決めました。

    「新たに家を建てることも考えたのですが、土地がなかなか見つからなくて。『好きに改装できるなら、ここでいいじゃん』と建築士の友人にいわれ、ここでいいか、って思ったんです」

    画像: 以前は1階は店舗、2階は5〜6人がシェアして暮らしていたこともあったという不思議な物件。2階の玄関から続く廊下は一部、床に板を張り、壁やドアは白くペイント。なちおさんが描いたドアの絵がアクセントになっている

    以前は1階は店舗、2階は5〜6人がシェアして暮らしていたこともあったという不思議な物件。2階の玄関から続く廊下は一部、床に板を張り、壁やドアは白くペイント。なちおさんが描いたドアの絵がアクセントになっている

    画像: 新たに借りた1階は、ジャムやクッキーなど制作の場に

    新たに借りた1階は、ジャムやクッキーなど制作の場に

    いまは、こつこつと家に手を加えながら、産地直送の店で季節の野菜を買ってきて料理をしたり、山や海に出かけたり。

    「私ね、ププッと笑っちゃうような、ユーモアがあることが好きなんです。仕事もつい、紙やペンにこだわったり、食卓のしつらえを考えたり。だから、仕事をすればするほど支払いが多くなる(笑)。でも、どんなに儲けてもそこに自分の幸福はないってわかったから……。この地でおにぎりでも売って、しみじみ暮らせればいいかって思ったりしています」

    生きていれば、不安もあるけれど、自分がご機嫌に過ごすことが一番大事。

    回り道してたどり着いた新居にはププッと笑いながら暮らす伸びやかな風が吹いているようでした。

    画像: 一日2食という中西家。10時ぐらいに朝食兼昼食を。この日は炊きたてごはんに、油揚げの焼いたもの、ふきの煮もの、ぶりの子の煮つけ、瓜の塩もみなどを

    一日2食という中西家。10時ぐらいに朝食兼昼食を。この日は炊きたてごはんに、油揚げの焼いたもの、ふきの煮もの、ぶりの子の煮つけ、瓜の塩もみなどを

    画像: 「産地直送の店が充実していて、旬の食材がたくさん並びます。それを見ているだけでうれしくて……。素材に刺激をもらいながら、毎日、料理をしている感じですかね」となちおさん

    「産地直送の店が充実していて、旬の食材がたくさん並びます。それを見ているだけでうれしくて……。素材に刺激をもらいながら、毎日、料理をしている感じですかね」となちおさん



    〈撮影/徳丸哲也 編集・取材・文/一田憲子〉

    中西なちお・義明(なかにしなちお・よしあき)
    なちおさんは「トラネコボンボン」主宰。「旅するレストラン」と称して各地で料理を提供。作画家としても活躍。夫の義明さんは、音楽関連会社勤務後、早期退職して沖縄に移住。現在は知人のライブのプロデュースなどを手がける。2021年より高知在住。
    http://toranekobonbon.com/



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