里親制度とは? 養子縁組と何が違うの?
今回取材に答えてくれたのは、里親支援センターともがきセンター長の岩田祐一郎さん。
「現在日本には、親からの虐待や病気など、さまざまな事情から親元で暮らせずにいる子どもが約42,000人います。その子たちは、児童養護施設や里親の元で過ごしています」

世田谷区にある児童養護施設「東京育成園」では、子どもたちが描いた作品を壁に飾り、1人ひとりの個性を尊重し、大切に育てている(※東京育成園のお話は、天然生活2025年6月号でご紹介しています)
里親とは、子どもたちを一時的に家庭で預かり養育する仕組み。
実親家庭の養育環境が整えば、子どもは実親の元に帰ることが前提となっています。つまり、あくまで子どもを「一定期間預かり養育する」制度です。
法的な親子関係となる「養子縁組」とは制度に大きな違いがありますが、担う責任は同じくらい重いものです。
「もちろん、重みはあります。でも、数週間や数か月という短期で子どもを迎える里親さんもいるんです。『短い期間なら』とか『長期は自信がありません』という方も登録していますよ」と岩田さん。
里親経験者の本音が聞ける動画も
里親には、いくつかの要件を満たすこと、研修などを経て認定されることで登録できます。
シングルマザーの方や、実子を育てあげた50代60代のご夫婦などさまざま方が登録しているそう。
かんたんに手を挙げることはできませんが、絶対的な自信がなくても、各分野のプロと里親がチームとなることで、子どもの養育を支えることができます。
「まずは知ることからはじめてほしい」との思いから「世田谷の里親相談室SETA-OYA」では、
3組の里親が登場する動画『こんな私たちでも里親やってます! 里親同士の本音インタビュー』をYouTubeで公開しました。
こんな私たちでも里親やってます! 里親同士の本音インタビュー
www.youtube.com「自分が里親にならないとしても、里親子の存在を特別なものに思わなくなってもらいたいです。
となりの家や近所に里親子がいるかもしれない。みんなが同じように家族として暮らしているんだと知ってもらえたらうれしいです」と岩田さん。
そしてこの動画をきっかけに里親に興味が出たら、ぜひお住まいの地域の児童相談所に問い合わせの連絡をしてみてください。
この動画に関するトークイベントが5月24日に開催されます。イベントには動画制作に携わった里親さんも登壇予定です。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

世田谷の里親相談室 SETA-OYAのwebサイト。里親制度を詳しく紹介している。説明会やイベントの開催も
seta-oya.com世田谷の里親相談室 SETA-OYA
https://seta-oya.com/Home
SETA-OYA YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@SETA-OYA
〈撮影/山川修一 取材・文/飯作紫乃〉

岩田祐一郎(いわた・ゆういちろう)
里親支援センターともがき センター長。社会福祉士、精神保健福祉士。児童養護施設東京育成園にて居室担当ケアワーカーに従事したのち、2013年より里親支援専門相談員として里親子に対する相談援助を担う。2020年から、世田谷区の業務委託を受け、フォスタリング機関として里親制度の周知/里親のなり手の開拓や、里親のための研修、里親子の相談業務を行う。法改正を受け、2025年からフォスタリング機関が里親支援センターへと変更となり、現職。
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天然生活2025年6月号の特集「助け合う暮らし」では、児童養護施設「東京育成園」を取材しました。
施設では、虐待や病気などの理由から親元で暮らせない子どもたちを預かり、里親制度にも取り組んでいます。
まずは知ることから。だれかを助ける一歩となりましたら幸いです。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです