続けて訪れたシナの異変と、静かな旅立ち
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老猫セオが難病「FIP」と闘った日々。治療薬・投薬方法・費用、そして最期の時間
セオが亡くなって数日後、今度はシナのお腹が膨らんでいる事に気がつきました。
この頃のシナは起きているときは徘徊老人のよう。

シナ。片脚だけ突然浮腫んだりもしました
病院に行ったところ、やはり腹水と胸水が。ただ、今回はFIPではありませんでした。心臓と肝臓が弱っていたものの原因がよくわかりません。
高齢なのと、シナは車酔いがひどいのもあり、通院はなるべく避けて主治医と連絡をとりながら、余生をできる限り快適に過ごしてもらう事を念頭に置きました。
食欲だけはあったのに、徐々にカリカリは食べられなくなり、ウェットフードも塊が食べられなくなり、ペースト状のフードだけはなんとか食べてくれました。
お水は飲めていて、ただ、それが身体に徐々に溜まっていきました。体重が500g以上増えて、たぽたぽしているのがわかるほど。
水を抜くのは簡単ですが、根本的な原因を見つけて解決しない限り、抜くとまた増えてどんどん身体が弱ってしまうのです。
毎日オムツの重さを量っていました。
枯れるように痩せていった身体と、静かな旅立ち
ある日、おしっこが大量に出て、身体に溜まっていたお水が抜けて1日で体重が4キロ弱から3キロに減りました。

おかげさまで点滴もひとりでできるようになりました(笑)
お水が自力で徐々に抜けるのは本来ならいい事かとは思うのですが、彼の場合は一気に抜けて、見るからに枯れた植物みたいになりました。
その後2日はほとんど寝たきりになり、家族が見守る中、深夜に息を引き取りました。
あまり苦しそうではなく、穏やかな最期でした。

最期の日。みんなでぬくぬく
シナのことが大好きなオリが最後、シナの顔を舐めにきて、そのまま同じクッションで添い寝を始めました。
お別れの挨拶に来たみたいでした。そして息を引き取るとオリはまたどこかに消えていきました。
ふたりを見送って、今思うこと
やはりシナの事が大好きだったセオが早く来てと天国から呼んだのでしょうか。ソウルメイトだったふたり。セオが亡くなった16日後にシナも旅立ちました。

セオが亡くなった次の日
生前シナはウチではボスとして君臨しており、我が家の治安を一手に担う立ち位置で皆に気を配ってくれました。
我が家のオロククロオというオス猫は、必ずと言っていいほど居候の成猫女子を襲うのですが、数年前までは襲うとシナが走ってきてクロオを叱ってくれました。襲う前、クロオが女子を睨むだけでもシナは注意します。

上から読んでも下から読んでもオロククロオ
最近は叱りはしなくなっていたものの、存在自体にパワーがあったようで、シナが亡くなってからというもの、クロオがコアラという成猫女子に対して当たりが強くなってしまいました。
なので今は私が監視役なのですが、シナには到底およびません。コアラは押入れに引きこもるようになってしまいました。

我が家唯一の引きこもり女子、コアラ。一応、里親募集中です
半月で立て続けにうちの子を亡くし、皆が通る道と覚悟はしていましたが、やはりふとした時にいるべき場所にふたりがいない、喪失感に襲われます。

シナが亡くなった次の日。オリの隣のクッションが半分空いてるように見えます。実は居るのかな
いままでに看取った子たちそれぞれが特別ですが、セオやシナは長年一緒に生きてきて、彼らは人生において最高のパートナーであり、私の心の特別な場所にこれからもずっと生き続けています。

時計まわりに、びんこ、セオ、シナ。いまはみんな天国に

シナとセオの若かりし頃。猫ビームを発しているところ
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小禄広海(おろく・ひろみ)
幼少の頃からお菓子作りが好きで、Bakeromi(ベカロミ)という名前で活動中。現在は鎌倉、材木座にあるカフェに毎日お菓子を納める傍ら、猫の預かりボランティアを中心に保護活動もする、バタバタな毎日。来世はやはり家猫になりたい。
インスタグラム@catladyorock、@bakeromi