(別冊天然生活『後藤由紀子さん 50代からはじめる日々の備え』より)
頼りになるアイテムがあれば安心
ニコニコと笑顔で、穏やかに話す様子から、後藤さんは落ち込むことなどないのではないかと思うほど。しかし。
「いやいや、根が暗いタイプなので一旦落ち込むとひどいんですよ。それに50歳前後から更年期が始まったせいなのか、ずどーんと重い気持ちになる日もあれば、理由もなく急にやる気がなくなる日もありました。何かに失敗したりつまずいたりすると、すぐに自分のせいにして、さらに落ち込んだり」
気持ちだけでなく、体調も同じです。もともと、めまいがする体質がさらにひどくなり、立っていられないほど体が重く感じることも。そんなときに後藤さんが心がけていたのは、「無理をしない」こと。
「すぐ横になって休みます。更年期だからしょうがないって割りきって、家事は放棄。あとは、更年期は一時的なものだと考えるのも救いになりました。一生このままじゃないんだから、大丈夫だろうって」
休んで、なんとかほんのちょっとだけでも気持ちが軽くなりはじめたら、できそうなことからやってみます。一番気軽にできるのは、香りを楽しむことです。
「お香をたくと、スーッと気分が変わるんですよ。だから、部屋のあちこちに香りのするものを置いて、気分転換できるようにしています」
夜になれば、晩酌をしてゆったりする。湯船につかるときには入浴剤を入れて体をほぐす。枕に気を使って、ぐっすり眠るようにする。
そしてときどきスナックに繰り出すことも。お酒を飲んで話して笑って。帰宅して楽しい気持ちのまま眠れば、また次の日がやってくる。
無理をしない。明日もがんばろうとは思わない。
そうして日々を過ごす時期があってもいいのだと思えば、気持ちが楽になるかもしれません。
「とりあえずその日を無事に終えられたらそれでよし。そう思って日々過ごしているうちに、ひどく気持ちが落ち込む時期は過ぎました」
ただ、ホットフラッシュの対策は、引き続き継続中。お守り的に持ち歩くものがあれば安心だと話します。

ホットフラッシュによるほてりを和らげるために、扇子は欠かせないアイテム。「かさばらないし、軽いので荷物の多い私にはピッタリなんです」『エヴァム エヴァ』の無地のシンプルなタイプなら、洋服にも着物にも合わせやすくて重宝しています」
「汗をかいたときに使うものや暑さを感じたら取り入れるものなど、いろいろな状況に備えておけば、外出先でも対応できます」
後藤さんのバッグはいつだって備えが詰まっています。
更年期対策グッズももれなく仲間入りしつづけているというわけです。
後藤さんの更年期対策4つ
更年期対策1 てぬぐい
バッグにはいつも手ぬぐいを2枚以上入れているそう。
「汗をかくことが増えたので、備えとして多めに持っています」

色柄の気に入ったものを常備している。ハンカチより大判でもかさばらないのがいい
更年期対策2 よい眠り
更年期は眠りが浅くなりがちなので、その対策もしっかりと。
「入浴剤を入れてゆっくりお風呂につかると、疲れもとれてぐっすり眠れる気がします。枕も大切で、あれこれ試しています」


枕は「ノルディックスリープ」や「トゥルースリーパー」のものを愛用中。気分によって使い分けている

「サボン デ シエスタ」とつくったhalオリジナルの入浴剤や石けんも常備
更年期対策3 香り
「サンタ・マリア・ノヴェッラ」のポプリや「カルデサック」のヒバチップは、玄関やリビング、寝室などあちこちに置いているもの。

「お香はその日の気分に合わせて、玄関でたいておくと帰ってきたときの気分がよくなります」
ペーパータイプのお香をお財布に忍ばせることも。

更年期対策4 カーディガン
「ホットフラッシュで暑いー! と思うこともあれば、急に冷房で冷えることも。体温調節が難しいので、必ず羽織るものを持参するようにしています」
ワンピースにはロングのシルクタイプを合わせたり、ビビッドな色味のカーディガンを楽しんだり。


撮影/飯貝拓司
※本記事は、別冊天然生活『後藤由紀子さん 50代からはじめる日々の備え』からの抜粋です。
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静岡県沼津市で雑貨店「hal」を営む後藤由紀子さん。2人のお子さんも家を出て、いまは夫婦ふたり暮らしです。小さいころから防災意識が高く、だれかが困ったときにも助けたいと思うお母さん気質、そして超がつくほどの心配性。そんな後藤さんの日々の備えとは?
体の備え、お金と仕事の備え、家族(親、子ども、夫婦)の備え、住まいの備えについて教えていただきました。50代から先、まだまだ人生を楽しむためのヒントが詰まっています。
<撮影/林紘輝 取材・文/晴山香織>
後藤由紀子(ごとう・ゆきこ)
静岡県沼津市で器と雑貨の店「hal」を営む。生活雑貨店「ファーマーズテーブル」などに勤務後、地元に戻り2003年に自身の店をオープン。ふたりの子どもは社会人となり、子育ても一段落。最近は「出張hal」として日本各地で期間限定の出店も。飾らない人柄が感じられる暮らしぶりや着こなし、もの選びのセンスも人気で、エッセイを20冊出版。近著に『雑貨と私』(ミルブックス)がある。
※記事中の情報は『後藤由紀子さん 50代からはじめる日々の備え』掲載時のものです