ついに第4回を迎えました! 今回は動画もありますよ!
菅沼 こんにちは。我々の鉱物偏愛を語る「美しき鉱物の世界」。第4回目を迎え、連載として定着してきた気がしますね。
川添 ありがたいことに、社内のほかの部署の人からも、「見てます!」と声をかけられることも増えて、なんとなく連載の存在が認められてきた気がする今日このごろです。
菅沼 声をかけられるとうれしいものですね。
川添 ですね。というわけで、第4回目を張り切ってスタートしたいと思います!
もともとは透明の水晶だった「アメジスト(紫水晶)」

今回は3種類のアメジストをご紹介します。左から、ファントム、クラスター、円柱状のアメジストです
菅沼 まずは私の方から「アメジスト(紫水晶)」をご紹介したいと思います。今回は3種類持ってきました。
川添 おー! 3つそれぞれ違いがあるのですか?
菅沼 そうなんです! まずはアメジストについて説明しますね。
アメジストは「紫水晶」とも呼ばれているように、もともとは透明な水晶なのですが、成長の過程で鉄を含んだり、放射線に当たったりすると紫色になるそうです。
川添 知りませんでした! 実は、紫水晶は小学生のときに一番好きな鉱物だったんです。
菅沼 そうなんですね!
川添 家族旅行で立ち寄ったドライブインやお土産屋さんでよく売られていて、床の間に飾るぐらいの大きなジオード(※)にアメジストが密集しているものが欲しかったのですが、高価すぎて買ってもらえず……。
親がダメなら祖父にと思って、「床の間に飾るのはどうか」とすすめてみたもののダメでした。
※ジオード:石の内部の空洞のこと。ここに熱水やミネラル分が入って結晶が形成される
菅沼 ドライブインでジオードが売られているってすごいですね。
川添 昭和時代の北海道の話ですけどね。ジオードは買ってもらえませんでしたが、鉱物の箸置きセットの中にアメジスト製のものが入っているのを見つけたので、それを買ってもらい、箸置きとしては使わず大事にしていました。
菅沼 微笑ましいエピソードですね。鉱物の箸置きセット、見てみたい気もします。
川添 それが、その後、父の転勤で引っ越しが何度かあり、どこに行ったのか分からなくなってしまいました。
菅沼 それは残念ですね……。
いくつもの結晶が融合したアメジストの「クラスター」

いくつもの結晶が固まったクラスタータイプのアメジスト
川添 話しが逸れてスミマセン。今回の3種類のアメジストについて教えてください。
菅沼 はい、まずこちらは「クラスター」といって、いくつもの結晶が融合しているものです。
このように密集したタイプの石も存在感があっていいですよね。
川添 採掘されたままの状態という感じですね。


菅沼 下の方は半透明になっていて、このグラデーションも好きです。
川添 本当にきれいですし、不思議ですね。根本の紫色にならなかった部分は、鉄分や放射線が届かず、普通の水晶のままなのですかね?
菅沼 どうなのでしょうね? 専門家の方、ぜひ教えていただけたらうれしいです……!
紫色に宿る、妖しい虹色の秘密とは?

内側に虹を含む、円柱状のアメジスト
菅沼 次に、こちらは円柱状のアメジストです。よく見ると中に虹が見えるんですよ。
石の内側にひび割れがあるのですが、そこで光が反射して干渉が起こり、虹が現れるようです。
川添 これは、高校生のときに物理で習った「回折(かいせつ)現象」ですね。CDとかDVDが虹色に見えるのと同じ現象なんですよ……、なんて話をしても仕方ないですけど。


菅沼 勉強になります(笑)。このアメジストは、ギラギラした虹に惹かれて手に取りました。
川添 確かに、紫色の中に虹色が見えてきれいですね。これは写真に写るのでしょうか? カメラマンの山川さん撮れますか?
山川 頑張ってみます。
一同 おお~! 写ってる!


川添 これはどこで手に入れたのですか?
菅沼 ブラジルのミナス・ジェライス州にあるアルト・パライソという小さな町で買いました。ミナス・ジェライス州は世界的にも有名な水晶の産地で、石屋さんがたくさんあるんです。
川添 以前、道ばたに水晶がゴロゴロ落ちているといっていた場所ですね。
菅沼 はい。もう15年以上も前の話ですが、海岸でシーグラスを見つけるような感覚で、道ばたで水晶拾いが楽しめました。
壮大な結晶の成長歴史を持つ「ファントムアメジスト」

ファントムという名の通り、内側に幻影のようなアメジストが見えます
菅沼 3つ目が、「ファントムアメジスト」です。よく見ると、中が紫色で、外側は少し茶色っぽくなっていて、グラデーションがすごくきれいだなと思って。
川添 見る角度によっていろんな見え方がするのも面白いですね。
菅沼 これは、アメジストが結晶になる途中で一旦成長が止まり、 ほかの鉱物を取り込んで再び成長したものだそうで、こういった鉱物を「ファントム」と呼ぶのだそうです。
川添 なんだか壮大な感じがします。この石は、表面の透明感がすごくて、磨いてあるのかな? と思って見ていたのですが、よく見てみると原石の状態ですね。天然でこんなにきれいなのはすごいですね。
菅沼 母岩も少しくっついているので、おそらく天然ではないかと。
川添 なるほど。ガラス細工みたいで、 透明感のある天然の水晶はすごく美しいですね。


菅沼 本当、美しいです。さっき調べたところ、古代ギリシャではアメジストにはお酒の酔いを防ぐ力があるといわれ、器や装飾品にも使われていたとか。
川添 酔いを防ぐ力はよくわかりませんが、ぜひ今度試して結果を教えてください。
<撮影/山川修一 参考文献/『楽しい鉱物学』『楽しい鉱物図鑑』(ともに、堀 秀道・著、草思社・刊)、『岩石・鉱物・化石 DVDつき(小学館の図鑑NEO 18)』(荻谷 宏、門馬綱一、大路樹生・監修、小学館・刊)>