(『天然生活』2022年10月号掲載)
夏物をしまう前のしっかり洗い
衣替えをするときは、次のシーズンに気持ちよく着られるようにしっかり汚れを落としておきたいですね。
夏物の場合、とくに気になるのが、白いシャツやTシャツの黄ばみ。
襟や脇の汗汚れは、時間がたつうちにうっすらとした黄ばみになってしまうことがよくあります。
そのため、次のシーズンに着ようとしたときには、黄ばんでいたということも。
これはしまう前の洗濯で皮脂汚れが残っていたのが原因です。皮脂汚れが酸化することで、黄ばみだけでなく、嫌なにおいのもとにもなります。
夏物を最後に洗濯するときは、正しい洗い方をして真っ白な状態を取り戻してからしまうことが大切。綿や麻の白いシャツやTシャツといった熱に強い白物素材は、鍋で「煮洗い」すると、しっかり漂白&除菌ができます。
やり方は、服、過炭酸ナトリウム、水をアルミ以外の鍋に入れて、加熱するだけ。
水2Lに対して過炭酸ナトリウム小さじ1(5mL)が最低量の目安ですが、皮脂汚れが多い夏物は、過炭酸ナトリウムの量を2倍にして洗ってみてください。汚れの落ち具合を見ながら、必要に応じて過炭酸ナトリウムを調整します。
煮洗いといっても、グツグツ煮るわけではありません。ポイントは過炭酸ナトリウムの効果が最も発揮される60℃くらいの温度で洗うこと。
沸騰前(60℃くらい)に火を止め、そのままお湯が冷めるまでつけおきします。日焼け止めが原因のシミ、黄ばんだふきんや薄汚れたベビー服も、煮洗いで漂白&除菌すれば、見違えるほどきれいになります。
色柄物の場合は高い温度だと色落ちの原因になるので、お湯の温度を40℃にして、同じようにつけおき洗いします。

白シャツと過炭酸ナトリウム、水を鍋に入れて火にかけ、60℃で火を止めて放置
ただし、過炭酸ナトリウムは動物性繊維を傷めてしまうので、ウールやシルク素材への使用はNG。事前に洗濯マークをチェックして、素材やプラスチックのボタンなどの耐熱温度も確認を。

〈イラスト/須山奈津希 取材・文/工藤千秋〉
本橋ひろえ(もとはし・ひろえ)
ナチュラルクリーニング講師。北里大学衛生学部化学科卒業後、化学薬品企業に就職。自身と子どものアトピー体質をきっかけに、掃除や洗濯、洗剤を科学的に解説する「ナチュラルクリーニング講座」をスタート。著書に『ナチュラルおそうじ大全』『ナチュラルおせんたく大全』(ともに主婦の友社)など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです