(『天然生活』2024年7月号掲載)
見たいものだけを飾り、いつでも帰りたい家に
建築デザイナーの井手しのぶさんは、これまでに自邸を6軒建て、現在は7軒目。
およそ60㎡の平屋で、庭に面して大きな窓があり開放的です。

愛猫の小夏と井手さん。壁の鏡はかつて旅したフランスのアンティークがメイン。壁に飾ることで部屋を広く見せる効果もある
すっきり広々とした印象だけれど、よく見るとものがたくさんあることに気がつきます。そして植物や雑貨など、遊び心のあるものが多いのもユニーク。
「使えるかどうかは、考えないんです。欲しいと思ったらパッと買っちゃう。旅先の蚤の市で手に入れたものも多いですね」
生活感が出るものは徹底的にしまい、気持ちを和ませてくれるものだけを表に出しています。
だからでしょうか。家からは、井手さんの人柄まで伝わってくるようです。

どうしても生活感が出てしまうものは、キャビネットやバスケットなどに入れて見えないようにしまう
モノトーン、アンティーク、天然素材、鉄製と、置いてあるものに統一感があるのも、すっきり見えるポイントでしょう。
引っ越しを繰り返すたびに選別してきたため、好きなものしか残っていません。
それらを飾るときは、たびたび配置替えをしながら、無造作に、アットランダムに見えるようにするのが井手さん流です。
「きちんとしているよりも愛着がわくし、個性も出るように思います。
旅が好きで国内外へ出かけますが、どこへ行っても『やっぱり家が一番いい』とほっとする、そういう家が好きですね」

アンティークのケースにはお気に入りのものたちを。あえてバラバラのものを飾るのがおしゃれ
次回は井手しのぶさんの、センスあふれるインテリアの工夫をご紹介します。どうぞお楽しみに!
〈撮影/星 亘 取材・文/長谷川未緒〉
井手しのぶ(いで・しのぶ)
1961年生まれ。ナチュラルでおしゃれな家づくりをする「パパスホーム」代表を長年務め、代表を退いてからもフリーの建築デザイナーとして活動。現在の住まいでは人気CMの撮影も行われるなど、インテリアにファンも多い。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです