(『天然生活』2024年7月号掲載)
3人の子どもたちの意志を尊重した仕組みづくりを
家族全員が片づけに参加し、家を整える仕組みを考え、実践してきた水谷家。
2024年4月から3人の子どもたちも全員小学生となり、母である水谷妙子さんもホッとひと息。
「ようやく自分の心身と向き合う余裕が出てきました」と語ります。

子どもたちがよく使う文具類は、自由に持ち運びして使えるよう、ハンドル付きボックスに

実用的な収納とインテリアを両立させている、キッチンダイニングの壁一面の飾り棚
「全員が片づけ」といいつつも、以前はやはり親が主導。
しかし最近は子どもたちにも自主性がどんどん芽生え、「どんなものを使って、どんなふうに整えていくか」も親子で協議しながら決める機会が増えてきました。
「たとえばランドセルの中身をいったん外に取り出し、それらを分類する棚がありますが、その区分けをどうするか『これならできそう?』と相談を。実際にその方法が適切かは、しばらくしないとわからない。だめなら違う方法を一緒に考えます。そんな繰り返しで、少しずつ子どものお片づけ力も伸びてきたように思います」

教科書やノートなどは、自分で分けてしまう方式。子どもの分別能力を育むきっかけになる
キッチンの食材ストック類にも、最近変化が表れました。
「以前は食材を管理しきれず、賞味期限切れでむだにすることが多かったので、ストックは4ケース分と決めていました。それがコロナ禍で在宅時間が増えて6つに。最近は健康を考え、海藻や高野豆腐、ごまなど乾物類を食べることが増えたので、さらに見直していまは10個になりました」

食材ストックのケースは、最初にすべてを決めず、生活の変化に合わせ少しずつ試しながら
整理整頓の習慣は「家族の安心」にもつながる
また、2024年に大きく見直したのが防災用品です。
というのも、2024年1月1日は新潟県のご実家に帰省中。かなりの大きな揺れと恐れを体感し、対策をわが身のこととして感じたのがきっかけだったとか。
「能登の被災地の方々とは比べようもありませんが、それでもかなり動揺して、ふだんのように冷静に考えれば大丈夫なことも、パニックで頭が回らなくなるものなんですね。家族5人が1週間生き残る備えを具体的に想像できていなくて、改めて見直しを行いました」

食料品、衛生用品、ランタンや電池類などのアイテムを4つのコンテナに分類しラベリング
それまで重い収納ケースに入れていた水のストックは、ベッド下のデッドスペースへ。
買っていたつもりの備蓄用食品も冷静に数えると数が足りず、ラベリングして補充しました。
奥にしまい込むのではなく家族全員がわかる場所に。
整理整頓の習慣は「家族の安心」にもつながっているようです。
〈撮影/山田耕司 取材・文/田中のり子〉
水谷妙子(みずたに・たえこ)
整理収納アドバイザー。「無印良品」で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務める。手がけた商品は500点以上。2018年「家が整うと家族も整う」というコンセプトのもと「ものとかぞく」を起業し、片づけ講座や企業とのコラボ商品の開発を行う。『無印良品ではじめる新しい習慣』(扶桑社)が好評発売中。
https://taekomizutani.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです